<年末5日連続投稿企画③>世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する 感想
前回のレビュー記事はこちら↓↓↓
皆さん、こんばんは。はじめましての方は、はじめまして。
ゼクショーと申します。
ヘッダー部分にもある通り、当ブログは通常であれば金曜日の20時30分に更新なのですが、年末は暇になるということで、史上初の5日連続投稿企画をやっております。大晦日も含めた5日間ね。
あとは何より、2021年秋アニメがレベルの高い作品ばかりで語りたくて仕方がない作品がいくつもあるんですよ。今回はその第3弾になります。
さてさてさ~~~て。
今回は、「世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する」をレビューさせて頂きます。
原作は、ライトノベル。「回復術士のやり直し」を手掛けた著者の方が執筆されていますね。
制作会社は「のんのんびより」等を手掛けている「SILVER LINK.」。
タイトルでお察しの方も多いかと思いますが、ジャンルは異世界転生系。
タイトルであらすじ説明しちゃってますよ、奇抜なタイトルで子供騙しに読者、視聴者吊ろうっていう意図が見え見えの見える子ちゃん。なんともゲスで戦略性の見られない商法なんだよと。あ~散々です♪悪霊退散~~~~♪(見える子ちゃんOPのサビを歌いながら)
クソメディアに取り上げられる異世界系の魅力「夢がある」とは名ばかりの、蓋を開けて見れば、前世の心情描写すっとばし、主人公をただの陰キャか社会不適合者にして、死んだ後にチート能力を持った何かに転生する~~~、ヒロインは愚か、社会情勢でさえもすべてがそいつただ一人の都合通りに進んじゃう安っぽいジャンルだな~~~、ま~た出たよ、おもんないやつ~~~って落胆する方もいると思います。
そんで、この作品もどうせ面白くないでしょと、このタイトルだけ聞いて思っている方は多いかと思います。僕ははっきりと断言しましょう。
「ほんまに、やめてくれへんか」、と。
ABEMAで観てたんですけど、僕も放送直前までは同じ印象を持ってました。
それが中盤にいくにつれて、印象が変わった。
ラノベらしい悪いところももちろんあったけど、僕は本当に2021年秋アニメのダークホースだと思っていて、同クールの中でも良い収穫をしたと思って、語りたくて語りたくて仕方がなかった。
なんせ原作買いましたしね。そんぐらい好きになっちゃったのよ。
何故僕がハマったのか、そして具体的にどんなところが惹かれたのか、印象に残ったことをこれから語っていこうかなと思います。
0. あらすじ
世界一の暗殺者が、暗殺貴族の長男に転生した。
異世界で生まれ変わる条件として、彼が女神から請け負ったミッションは只一つ。
【人類に厄災をもたらすと予言された《勇者》を殺すこと】
それこそが世界最高の暗殺者が、新たな人生で果たすべき使命であった。現代であらゆる暗殺を可能にした幅広い知識と経験、そして異世界最強と謳われた暗殺者一族の秘術と魔法。そのすべてが相乗効果をうみ、彼は史上並び立つものがいない暗殺者へと成長していく――。
「面白い、まさか生まれ変わってもまた暗殺することになるとはね」
転生した"伝説の暗殺者"が更なる高みへと駆け上がる!限界突破のアサシンズ・ファンタジー!!
※アニメ版公式サイト STORY INTRODUCTION部分より引用※
1. シナリオ面
まずは、良かったと思ったところから語っていきましょう。
①スリリングな転生前パート
第1話のBパートの話になります。
Aパートは、裏オークション会場を主人公ら暗殺チーム一行がかき乱すというもので、戦闘中にさりげないパンチラさせまくったりだとか、ラノベらしいしょうもないことをやってましたが、このBパートに関しては圧巻の一言でしたね。
主人公が、タイトルにもある「世界最高の暗殺者」だった頃の時代を描いている。
ある暗殺を生業とする組織に所属していた。年齢的にも高齢になり、最後のミッションを受けようというところ。新人の女助手クラリスと共に行動した。
暗殺の手ほどきを、新人の女助手に教えるシーンとかは、クライムアクションらしい駆け引き要素があって面白かった。
車で走行中に、敵の偵察ドローンに見つかり、遊撃隊が襲い掛かってくる。距離は結構ある。ドローンがターゲットにしたものに対して、一定の方向にしかカメラを向かない性質を逆手にとった死角を瞬時に把握する。敵側には窓から迎撃していると見せかけて、車内の後ろの窓部分に銃を巻き付けて、車内の揺れを利用し、予備として備蓄していたガソリンを上手い具合に引火させてトラックを爆発させる。その際巻き込まれて死なない程度に隙を見て、逃げ出す。
この一連の流れ、冷静に敵を欺く、一流の暗殺者っぽいトリック描写は面白かった。
そのさなかで出てきた、「我々は正義の味方ではない、組織の道具だ。命令以外の人間は殺してはいけない」という風な台詞回しも印象深くて。
これが主人公の、暗殺に感情は不要であるという考え方が見えて、歴戦のミッションを駆け巡ってきたプロフェッショナルの塊で、最強の暗殺者というキャラクター性をカッコよく引き立てていて、大変良かったですね。
時は少し進み、最後のミッションを受け終わり、旅客機で引退後の生活を始めようというところ。
このあと結論から言わせて頂けば、主人公の部下すらも利用されて口封じに殺されるんですけれども。
そのやり方が、乗っていた旅客機が突如ハイジャックされて、逃げ場を失って死ぬという描写が、2001年の同時多発テロ事件を彷彿とさせるほど残酷だったし、組織側の殺し方としても手の込んだもので面白かったと思います。
極めつけは組織に裏切られたと分かったときに、暗殺を生業とし、感情は不要と考えてきた自分が初めて悔しさをにじませるラストシーンが良かった。そのときの言い回しもカッコ良かったし、いっそのこと、この前世の暗殺者パートで1クール観てみたいな~って思わされるパートで。
こんなこと異世界アニメに感じなかったし、リゼロ、オバロ、このすばといった異世界アニメの傑作たちの転生前パートでも、こんな丁寧に描かれなかった覚えはなかった。すごく新鮮でしたし、これが12分だけとは思えないほど、濃密なものだったんだよね。
そして、いざ転生するというときに、この転生前を振り返る締めの言葉として、「俺は人間として今度こそ、本気で生きたい」みたいな台詞を主人公に言わせるところは、前世の過ちと向き合おうともしない量産型異世界系アニメとは全く違うんですよね。似た台詞があったのは、他に「無職転生」くらいしか観たことがない。
序盤で訳分からないチート能力発現して、その能力のインフレが止まらなくなって、気が付けばワールドクラスの無双状態、ついでに美少女ホイホイハーレム祭りの始まりーーー!!!が、大抵の異世界系作品の流れです。前世での後悔だとか、そういったものを掘り下げて描く作品は少なかった。
こういうことがあるから、世界観が浅いって思って嫌う人は少なくないだろうし、それが嫌われる原因になっていると思います。この作品は、それに一石を投じるような模範解答をしてくれたのではないでしょうか。
②3人のヒロインとルーグの絡み合い
ある特殊な境遇を持った3人のヒロインと、主人公は絡むことになります。暗殺貴族の「ルーグ・トウアハーデ」として。
どんな境遇なのかはここでは敢えて言いませんが。
まずは、最初に出てくるヒロイン、ディアちゃんの絡みから。
いやあ、銀髪は性癖に刺さりますね~~~~~(;^ω^)
ルーグに代わって、僕が彼女を抱きたいなあ。
というもう一人の僕の私情はさておきまして、レビュアーの僕としては、世界最高の暗殺者で、これまで人間的な感情に乏しかったルーグに対し、ディアちゃんはルーグに魔術を教えたりする教師的存在ですけども、豊かな表情を見せて強引にプロポーズに誘ったりだとか、積極的な行動力と精神力で彼をリードするところは、彼を人間的な感情を与えるという本作品における、ターニングポイントの描写として上手く働いていたなあと思います。
次に、タルトちゃんとの絡みから。
確か4話くらいだったかな。
貧しい国から迫害を受け、森に逃げ込んできた彼女。そこで、ルーグが介抱してやるというシーンがあります。体が冷えているもんだから、おかゆを作って食べさせてやるというものなんですが。その間に、肉として喰らうためのオオカミを狩って、血抜きをしてその肉も食べさせてやるっていう展開もある。
人を殺めるのは躊躇なくするっていう暗殺ものとしての筋はあるんだけれども、暗殺のプロとしての経験値があるのか、生き物の無駄な殺し方はしないっていう見せ方の描写が出てくるのは個人的に意外でして、サバイバルものとしての面白さもあって良かったと思いましたね。
タルトちゃんはそのあと暗殺者としての手ほどきをルーグに学んでいくわけですが、急速な成長速度で強くなっているのはツッコミどころですけど、このルーグとの出会いで起こった展開については、非常に良かったと思います。
次はまあ、マーハちゃんとの絡み。
僕的には、本編中で3ヒロインの中で一番良い絡みをしているのは彼女だったというか、別の言い方をすれば、彼女とルーグが絡んだエピソードが一番面白かったって思いましたね。何故良かったかというのは「回復術士のやり直し」を観た方であれば、薄々勘付いている方もいるとは思いますが。
その中でもこの作品の、いえ、この作品の原作者のストロングポイントが出ていたのが、6話で。
これが非常にお気に入りの回でした。観ていない方は、6話まででも良いから観て頂きたいな~っていいたくなりましたね。
孤児だったマーハ。小銭稼ぎと言う名目で街に来た人々を、孤児がよく着ているようなボロ汚い服の上に綺麗なジャケットを着て、観光案内するというのは、現実にもよくいるローカル案内ガイドの人のようで、賢い女の子だな~って思わせるところも良いですね。
そのあと貴族の下の世話をさせるための人身売買の道具の候補として、友達共々拉致されるわけですが、その時に彼らと共に精神的に傷みつけられる過程とかも、ドきつくて良かったです。
ふかした芋食わされたりとか、最後に身売りされようとするときに「どうせこんな世界でしか生きられないから」といて、自分の体を切り刻んで身売りされないようにする子の様子を目にして、自分も死のうと思った演出だとかね。
そのあとマーハちゃんがルーグに助け出される過程は、まあ少々ご都合主義なとこがあって盛り上がりにかけるというのは目を瞑りまして。
それよりも、こんな人身売買をさせるっていう作風はエロい方向にもっていこうと思えば多くの作者さんはできるはず。そうだけども、この作品はそれをせずに人身売買そのもののドきつさをストレートに描いている。
エッチくて残酷な描写が特徴的だった「回復術士のやり直し」もそうだったけど、このコンプライアンスの問題で規制されがちなテーマを、限界まで攻めてドきつさを表現しているところが、この作者のストロングポイントなのかな~と思ったし、非常にチャレンジ精神を感じるのは評価せざるを得ないんですよね。今の時代にやるから価値があるというか。
その数年後に、商人として成長していくマーハちゃんの描写も非常に良かったですね。この描写のとこも普通に好きだし語りたいんだけど、その勢いだと全篇ネタバレすしてしまいそうなんで、ここまでとします。
あとは、この3ヒロインに対するルーグの心情の揺れ動き方ですね。
ディアちゃんが特にそうなんだっていう描写なんだけれども、この主人公はこの3ヒロインを通して人間的な信念や、感情を思いだすというもので、それが出ていたのがマーハちゃんとタルトちゃんと添い寝をするシーンですね。
なんとこのときルーグでも想定外のことが起こります。なんと夢精するんですよね。
異世界転生して肉体的に一気に若返ったということを示す描写でもあって良いんだけど、タルトやマーハを始めとするヒロインの存在がそれほど大切な存在になってきているということを示していて非常に良かったなと思います。
この他にも良いシーンはあります。あんな深くは語りませんが、主人公が転生後に父となる人物、キアンのルーグを想っている描写。
まあ同じ銀髪キャラであるルーグママは全然萌えないんだけど、っていう感想なのはもう一人の僕がしつこく言ってきてんだけども。
同じ暗殺貴族でありながら暗殺者以外での才を息子であるルーグに、お前にはほかに生きる道があると諭す場面は、暗殺者としての心構え以前に家族としての情を表していて、良かったですね。
まあ悪かったと思ったところを、話しますと。
暗殺者としての訓練をさせるシーンはいらねえなって思ったお。だってその息子、世界最高の暗殺者yankeeってね。
あとはこれも異世界系アニメの逃れられぬカルマって思ってるんですけど、ルーグの成長速度が異常ですね。
ディアに魔法を教わったあと、まだ小学生くらいの年だというのにその技術を応用して、巨大威力を誇る魔法を繰り出せるようになっている光景は、正直白い目で見てました。最終回ではすでに一国を滅ぼせるくらいの力を得ており、一番クライマックス部分に持っていくべきラスボス戦もあっけなく終わっているのは、少し萎えポイントでした。
あとは女神が、ルーグと同じ世界最高の〇〇だった人から選定して、異世界に飛ばすっていうくだりが各話にギャグパートとして入れこまれてますが、いずれも失敗するっていうオチが決まっているのに、それを繰り返しているのは悪い意味でラノベらしかったな~と思いました。
マーハ回みたいなえげつねえ回を出来るんだから、そこんとこをこういうギャグを落とし込んでバランスを保たせるっていう狙いは、悪いけど作品のチープさが増すだけだと思います。
2. 演出面
キャラデザも時間経過を感じさせるように、話を増すごとに老け込ませたっていうのは良かったですね。
犯罪者の手首ちょんぱシーンだとか、たまに入ってくるグロ演出は良かったと思います。暗殺をテーマにしているのだから、物語が締まりやすくなるしね。
そんなめちゃくちゃ崩れてるってほどではないんですが、作画崩壊はいくつかあったと思います。
後半になるにつれて、寄りの作画が弱くなってました。マーハの顔の輪郭に対して目の位置おかしくなってたりだとか、ちょっとふんわりしてくるのは頂かないなと思いましたね。ただ時間をかけてでも手描きで頑張ろうっていう気概は、好印象ではあります。
バトルシーンでのCG部分は恐らくほぼなかった。魔法演出は、まあ特別カッコいいとは思いませんでしたね。こちらも、ほとんど手描きだったのは高評価でしたけれども。
3. 音楽面
OPは、きちんとストーリー性を持たせていた。異世界転生からサビ手前のとこまでの下りを、ブラックな配色を基調とした表現の絵柄で見せてきて、サビの異世界転生後の暗殺の下りで本編とほぼ変わらないようなカラーでキャラクターのアクションを、カッコ良く表現していて、良かったんじゃないでしょうか。
EDはしっとりかつ落ち着いた曲調で、物語が上手く締まる感じで良かったっすね。歌詞的には、ディアの感情を表現しているのかな?
良い曲でしたよ。もう一人の僕が言うにはね。
皆さん、いががでしたでしょうか。
今回は、2021年秋アニメで僕が一番好きな作品をレビューさせて頂きました。
あとこれは余談ですが、このブログで語っていないアニメについてこのTwitterで語っております。もし興味がありましたら、覗いてみて下さい。
次回は木曜日の20時30分、今日と同じ時間に新着記事を上げようと思います。
それではまた、次回お会いしましょう。