ゼクショーのアニメブログ

主に深夜アニメ30分枠のレビューをしていきます。毎週金曜日20:30更新!!※2023年4月以降から第2金曜日の20:30に更新予定※

東京マグニチュード8.0 衝撃の大震災から私たちが学び、向き合い、未来永劫忘れてはならぬコト。

前回の記事はこちら↓↓↓

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 皆さん、こんばんは。はじめましての方は、はじめまして。

 

 

 ゼクショーです。現役大学生になります。

 

 

 成人式はとっくに終わったけど、今週に入ってようやく僕も新成人の仲間入りをしました。あっという間すぎて、全く自覚はないですが。

 

 

 社会情勢の把握、世論として自分の考えを述べていく能力だったりとかはまだまだ未熟なものだと思っていますし、社会的な経験も少ないと感じているので、今年は今までのタイプとは違ったバイトをやって、就活への足掛かりにしたいところ。

 

 

 

 飲酒は一応出来るようになったけど、まだ抵抗があって飲めていませんね。いざ飲むにしても、炭酸の自己主張が弱めの酒でもビールでも何でも良いんで、まずはそこから始めてみたい。

 

 

 

 

 あ~あと煙草についてだけど、吸おうと思うほど、ストレス溜まってる訳じゃあるまいし、吸いたくもないですね。

 

 

 

 あれは人体の血圧を上げるし、吐き出したときに二酸化炭素を多く出す人類の害、世界の害だと思っているので。ただでさえこのコロナ禍であまり運動できなくなってるのに、不健康な体にはしたくないです。

 

 

 

 

 

 

 まあ、そんな余談はともかく、本題に移らせて頂きます。今回は東日本大震災から丁度11年が経つ日でもありますし、あの作品をレビューしようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2009年放送、「東京マグニチュード8.0」になります。

 

 

 

 

 

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タイトルロゴとキービジュアル ※「dアニメストア」より、引用※



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ハチミツとクローバー」、「のだめカンタービレ」等、高クオリティと言われたアニメの数々が放送された、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」にて放送された、オリジナルアニメになります。

 

 

 

 

 制作は「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」、「僕のヒーローアカデミア」等を手掛けたボンズ、「メイドインアビス」「盾の勇者の成り上がり」等を手掛けたキネマシトラスの2社による共同です。

 

 

 

 

 

 地震大国の日本だからこそ描けた素晴らしい作品であると同時に、関東大震災東日本大震災で、震災によって失うものの恐怖や不安、そしてもし明日、明後日に自らの故郷で地震が起きたとき、あなたはどうするべきか、非常によく考えさせられる。

 フィクションという形ではありますが、その震災のおぞましさを未来の子供たち、そしてこれから未来を生きる大人の皆さんに向けて伝える娯楽作品としては、大変価値あるものだと思っています。

 

 

 

 

 

 題材の都合上、ショッキングな展開も多い。シナリオ的にも、演出的にも、中盤、そして終盤の展開の後味が重要な作品だと思ってるし、それを多くの方に見て頂きたいという思いもありますんで、全編のネタバレをするというよりも、特に良かった部分をかいつまんで語っていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0. あらすじ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夏休みに入ったばかりのお台場。

中学1年生の未来は、弟の悠貴に突き合わ

されロボット展を見に来ていた。

はしゃぐ弟を横目に、反抗期真っ盛りの未

来は退屈そうにケータイをいじっている。

「毎日毎日ヤなことばっかり・・・。いっその

こと、こんな世界、壊れちゃえばいいの

に」

そう思った瞬間、突然地面が激しく揺れ

た。

 

東京を襲った、マグニチュード8.0の海溝

型大地震

 

連絡橋は崩れ落ち、東京タワーは倒壊—。

一瞬にしてすべてが変わった東京。

未来は悠貴の手をひき、お台場で出会った

バイク便ライダー・真里の力を借りながら

世田谷にある自宅へ向かう。

 

果たして3人は無事に家に帰ることができ

るのか—。

 

 

 

 

※TVアニメ版公式サイト  -  概要部分より引用※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. シナリオ面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①子供視点から考えさせられる事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あらすじ通り、2人の兄妹が、東京都で発生したマグニチュード8.0の地震の恐怖をいかにしてかいくぐって、世田谷にある家に辿り着けるのかを描くロードムービー的内容になっています。

 

 

 

 

 

 このアニメのタイトルから、地震による恐怖そのものを演出面で全面に押し出し、衝撃的な引きの展開で勝負するタイプの作品なのかなと思われる人もいるかもしれませんが、この作品は主人公となる2人の兄妹間の会話の、年頃ゆえの後先のことを順序だてて考えない感じだとか、ついつい独りよがりになってしまいがちな反抗期の態度だとか、そういったものが非常にリアルに表現されている。

 

 

 

 

 

 演出だけでも、この作品がどれだけ震災の恐怖に向き合っているかは伝わる内容ではあると思うし、震災で想定されるいくつかの事象をシミュレートして作られたフィクションのはずなのに、キャラクターが本当に生き生きとしているように感じられるし、すごく感情移入できる。

 実際にこのアニメで震災に巻き込まれた人々のリアクションや、行動で、現実にいる我々にも倍々ゲームのような感じでそのドぎつさを伝えてくれるんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 まず、主人公の未来ちゃんの脚本が、中学1年生感が凄い出てて良いんだよね。

 

 

 

 

 

 

 1話の冒頭。未来ちゃんが通っている学校内で起こっている会話の中で「旅行に行きたい」だとか、レポートで「将来の夢について」書くというときに、「ピアニストになりたい」だとか、色々とやりたいことを模索し始めている同級生たちの声を聞いて、それを羨ましがり、「将来の夢だなんて分からない」といった趣旨の台詞を言う所だったり。ただそれでも、自分勝手で人を小馬鹿にして笑うような大人にはなりたくないと強がるところ。

 

 

 

 

 

 

 

 自分が想像している以上に様々なことに守られていることを知らぬ、子供らしい感情と、弱さが出ていて良いんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 僕も中1だったときね、道徳だったか国語の授業だったか忘れましたけど、「親孝行ってどういうことですか」って質問が出たときに、上手く答えられなかった記憶がありますね。うちの中学は合唱のときも普通に雑談でのお喋りが止まりませんでしたし、うっかりぶつかっただけで腹パン食らわされることなんて日常茶飯事な、そんなところでした。そいつらが数10年後経って精神的にあまり成長せずに大人になった時のような、悪い奴にだけはなりたくないなってぶっちゃけ思ってました。「親孝行」の意味もあまり深く考えていなかったくせにね。

 そんな傲慢な考えをしていた自分がいたんだな~~~って。この未来ちゃんのキャラクター性を見ていると自然と懐かしく感じるし、痛々しいほどに無力感を覚えるんですよ。

 

 

 

 

 

 親に対しても冷たく当たって、独りよがりになってしまいがちな態度をとるところも、実に思春期ゆえの反抗期の象徴とも言える描写で。

 仕事のことを優先順位とするあまり子供にあまり構ってあげることができない親に、家事を押し付けられたり、あれこれやるべきを口うるさく言われるそれを嫌がって不貞腐れちゃって、心の余裕がなくなる描写も、凄くリアル。

 意味合いのベクトルが少し違うけれども、僕も自分の話が最後まで終わっていないのに、別の人の話を聞きに行くっていう流れに一々憤りを感じる癖が小1の頃からあって、なかなか直すのに苦労したものです。

 自分の思い通りにならないことを頑なに嫌がり、他者を拒絶するような破滅的な考えになるのもすごく理にかなってるし、共感できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 未来ちゃんの弟の悠貴くんのキャラクター性も良いですね。やけに大人びていると見られる行動と、何も後先かんがえずに元気よく突っ走る無邪気さあふれる行動の中間スレスレを行くような子供っぽさ。中学生目線だと少し子供っぽすぎる性格だと思われるんだけど、小学生目線だと子供らしさは残ってるけど、聡明な「良い子」感があるというかね。その時折見せる聡明な感じが、未来ちゃんの考えの浅はかさを突くように、またそこに感情移入させてる我々の心理を突くような展開に転がしている感じが、実に巧みだったなと思いました。

 

 

 

 

 

 

 序盤から様々な災難が重なって未来ちゃんが自暴自棄になりかける度に、「父や母ともなにか楽しい事でもしたいね」みたいな台詞を言う。これは心の余裕がなくて何もかもに難癖つけて、この世の全てから逃げようとしている人からすると「なに綺麗ごと言うてんねん、大体巻き込まれたのもあんたの責任でもあるやろがい」みたいに思うかもしれない。

 まあ所謂すぐ他人のせいにする癖ですね。これが頻繁に出てくる年こそが、思春期の始まりである中1くらいなんだとか。多分恐らくこういう人たちって、まあ僕もかつてはそうだったのかもしれないけれど、「他者と比較して不遇な扱いを受けていると自分で思い込んでコンプレックスになり、それが社会的な憎悪になっている」っていうのが根底的な心理にある気がするんだよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも悠貴くんはそれを察している。食べ物を食べる時の好き嫌いも決して言わないし、優しすぎると言えばそれまでだが、その楽しげなことを喋る一言一言が、ただの世の中への甘えではなくて、そういう張り詰めた心を慰めるためのことなんだって、未来ちゃんに気づかせてあげるまでの過程が、兄妹の会話の掛け合いとして非常に良いし、未来ちゃんの感情表現に等身大のものを感じているからこそ、我々の心にも突き刺さるものがある。

 そんなリアルな兄妹会話を楽しんでいるからこそ、彼と未来ちゃんの間に巡ってくる後半のドぎつい展開が重みとなって、見ていて辛くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こういう展開があるから、主人公らが大きな地震が起こって、日常が大きく変わったことによってさまざまな人々と関わる中で、自分の身勝手さや、無力さを痛感していき、地震があってもなお絶対に失ってはいけないものについて答えを見つけるまでの流れが、このあと語る大人の視点と照らしわせることで、非常に面白いものになっているんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこんとこも合わせて、これから本編を見ようと思ってる皆さんには、色々と考えて頂きたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②大人視点から考えさせられる事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 子供視点で見たときも、この作品は十分素晴らしい作品だとは思うんだけども、成人してからこの作品を観返すと、印象が大きく変わった。

 大人の年齢に近づけば近づくほど、その繊細さに気づかされたというかね。この架空の大震災において、人は何のために行動するのか、何が大切なのかを突き詰めまくったこの作品のストロングポイントは、この大人の視点での脚本が大いに映えたからこそ生かされてるんじゃないかな~って思いますね。

 

 

 

 

 

 

 

 初見で見たときは高校生だったからあまり深く考えなかったけども、20代になって観ると、凄く大人視点の話が震災シミュレーションものとしての社会風刺要素もそうだし、人間ドラマとしても凄く考えさせられるものだってことに気づかされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大人の階段に上がったっつっても、関東大震災などを経験されている方々からすれば、20代成り立ての僕はまだまだ若造です。子供のときの未熟な部分はまだまだ残っていると思いますし、同時に考えが至らなくて申し訳ないなと思うことも多々あります。そういうことを思わされるシーンが、4話くらいにあったかな。

 

 

 

 

 

 

 兄妹2人にひょんなことから出会うことになる真理さんの大人としての立ち回りも良いしカッコ良いんですが、僕が特に印象に残っていることは、未来ちゃんが通っている中学である六華女学院でボランティア活動をしている古市さんが、未来ちゃんたち一行にかけた台詞ですね。

 少しネタバレをすると、古市さんは、震災前に孫2人がいて、彼らを亡くしている老人です。ボランティアの鑑と言わんがばかりにそんな辛い事実を冷静に受け入れて、気丈に振る舞っている。夜になっても蒸し暑い避難所の中で、涼しい場所に避難者を案内してあげたりだとか、飲み物などを無償で支給してあげたりだとか、危ない場所には近づかないように注意喚起をしてあげたりだとか。街ゆく人に涼し気な笑顔を見せてあげたりだとか。

 それを知ってしまった一行に対して、彼がかけてあげた言葉が僕には強く印象に残っていて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お嬢ちゃんたちが無事で良かった。死ぬべきは私でした。生きて欲しい、お若い方々に

 

 

 

 

 

 古市さんはその衰えた体でも、自分にできることを懸命に探して若い人の助けになろうとしている。真理さんのキャラクターも、震災で様々なつらい経験をして見失いがちな「優しい大人ができているように、身近なことでも困っている誰かに手を差し伸べることができる」事が必ずあるんだということを伝えてるんだけども、そんな彼の勇敢な行動も勇気づけられることであるはずなのに、凄く切ないし、申し訳ないなと思う気持ちの方が強く残るんですよね。

 

 

 

 

 

 

 避難所での生活は、普段はしてない共同生活になる。トイレに行くことも、好きな飯を食うことも、好きなように出来なくなる。いざ寝るというときに周りのいびきがうるさいだとか、寝心地が悪いゆえの贅沢は堪能できないし、我慢しなくてはならない。怪我を嘆いたり、真理さんのように自分の子供がいて、離れ離れになってしまって血眼になって探す人々だとか、危機的状況でこそ人の本性だとか才能ってもんが分かるみたいな話がありますけども、僕は想像しただけで何もできない無力感を痛感する。

 嫌いな同級生は勿論、先生だったりとか、友達、そして親にすら反抗してた自分の身勝手さに吐き気を覚える程に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 タイムリープ能力者だなんてこの星どこを探してもいないし、我々にもその力が手に入るわけでもない。その現実を変えたくとも変えられない。過去にいた、誰の力にもなれないし、還らないものは還らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だからこそ、次同じような、いやそれ以上の大震災がこの日本に起こったとき、何もなければ簡単に死んでしまう。瓦礫に頭から埋もれてもへっちゃらな大それたフィジカルなんて持ち合わせてない、そんなちっぽけな弱者であることを自覚している我々は、無力なりにも出来る限りの力を、武器を身につけておかなくてはならない。

 

 

 

 

 

 

 例えば、第一に考えられるのは、普段から水の確保を怠らないようにすること。日常で流れてる水っていうのは、どうやって確保されているのか。

 その大元は空から地上に降ってきて溜まった雨水なんだけど、それが浄水場に集められて、そこでその水の汚染された成分を抜き取って、下水道を通して、我々の家庭に行き届けられているわけですよね。外部による大きな衝撃によって、そのパイプラインが絶たれてしまっては、元も子もない。

 ネットで見かけた災害対策方法で良いと思ったのは、2L以上の水が入るペットボトルを出来るだけ多く入手して、その空きとなったものに水道水を溜めておくことですね。衛生を保つために、綺麗な冷蔵庫にしっかりと入れて保存しておく等が賢明かと思います。

 

 

 

 

 

 

 第二に、水と同様、人間にとってのライフラインに関わってくるであろう食べ物の確保も怠ってはならないのだと。ローソンが、東日本大震災時に、おにぎりを無償提供するようになったっていう話は有名ですが、その数も店によって限りがあるわけですし、それを知った多くの人にとられる恐れがある。いざという時に食料がない損をしないためにも、普段から食べ物を買い溜めておく。どんなものが良いだろうか、よく考えて下さい。巨大地震では大抵停電が起こるものだ。

 僕は実は東北民なんですけど、東日本大震災時には勿論経験していたことだ。震源地からはだいぶ離れたところだったけど、それでも震度は4くらいあった気がする。

 なかなか揺れにくい場所に住んでるんだけど、今のところ、この約20年のなかで一番大きかったかな。運が良かったというべきか、建物自体は倒壊しなかったし、半日くらいで電力は復旧しましたが、それでも水道は使えんし、好きな食べ物を好きなだけ食べるという贅沢ができないのは、当時小学生だった僕にとっては、なかなかの地獄でした。

 

 

 

 

 

 

 こういう経験をできるだけしないためにも、冷やさなくても大丈夫な食べ物を大量に溜め込んでおく必要があります。母がなんでカロリーメイトを買いまくっているのかが、昔はよく分かんなかったけど、今なら理解できる気がする。カップ麺とか、缶詰、糖分の多いお菓子だとか、プロテインとかもそうなるのかな。

 あと簡単に料理しやすい食材を蓄えるのも効果的らしいですね。詳しいことは分からんけど、試していただく価値もあるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 他にもできるだけ高い所に家具を置かないようにしておくだとか、通電火災対策として暖房器具の元栓チェックの徹底だとかもしておくだとか、長く電池が持続する懐中電灯と大量の電池を手元に近い場所に置いておくだとか、落石物に対する対策としてヘルメットを用意しておくとかですね、色々用意するべき道具はある。

 最近だと、災害グッズになりえるものも百均ショップなどで結構売っているみたいなので、気になる方は調べて、お手元に出来るだけ多く用意して頂くのが、非常に賢明だと思いますし、本編のシミュレーター要素からもそれは勉強になるものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、震災という恐怖の体験をしてもなお、我々にとって忘れてはいけないかけがえのないモノ。平々凡々とした日常に気を取られて思わず忘れがちになってしまうけれども、クーリングオフすら許されない尊いモノがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは家族で過ごす時間だ。何気ない事かもしれないけれども、どこをどうとってもそれが一番であることは変わりないはずなんだと。この作品が、アバンからケツまで貫いていたメッセージ性はそういうことだったのではないでしょうか。

 食料や飲料水の備蓄だとか、そういう試みも非常に大事ではあると思うんだけども、良くも悪くも人は色々忘れてしまう生き物です。

 

 

 

 

 仕事を優先させて、子供としっかりと話し合うことができず、2人だけでお出かけさせる。大人は神様でも何でもないんだから、いざという時にミスして子供を危険にあわせる可能性だってある。

 子供だけで遠くに行かせてはならない。好きな方には申し訳ないのだが、僕は「はじめてのおつかい」に対しても、そういった面では、割と否定的な見方をしている。

 

 

 

 

 

 

 家族一緒にいるときに被災するとは限らない。いざという時の避難場所、集合場所、連絡が取れなかったときにどうするべきだろうか。情報が入ってくる怖さ、入ってこない不安、その対比表現。話数を追うごとにその不安と焦りが大きくなっていく構成になっているのも見事だった。真理さんは、仕事の都合上で親子と遠く離れてしまっており、電波の大元がやられたことで、電波も圏外に。未来ちゃんも愛用している携帯電話から親の電話に繋がらなくて、肝心なときに親に頼れないから不安と焦りの描写は、なかなかドぎつかった。

 

 

 

 

 

 

 

 だからこそ、そうなったときの防災対策も忘れないで頂くことは勿論、家族と話し合う団欒の時間を、出来る限りで良いですから、多く持っていきたいなと改めて気づかされましたし、これから新しい家族が生まれるという方も、ぜひこの作品も観たうえでね、考えて頂きたいなと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 演出面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 演出面も色々と素晴らしい。

 

 

 

 

 

 

 作中でも、高層ビルが激しい揺れによって砕かれ、別の建物に寄りかかるようにして倒壊する場面が何回か見受けられた。

 

 

 

 

 

 

 細かな震災シミュレーション要素も、かなりリアルに再現されている。毎話毎話、本編が始める直前に「本作品は首都圏での巨大地震発生を想定し、膨大なリサーチと検証に基づいて制作されたフィクションです。」といった旨の注意書きがされていることからも、制作する前にかなり綿密なロケハンが行われていたことが分かります。

 

 

 

 

 

 

 この感想を書くにあたってインタビュー記事など色々調べたんですが、制作陣の方々の中には、建築学校出身の方が入られているそうです。

 その方から色々教わったという監督のお話によれば、「建物の柱は加重が一番かかる下の階の部分が一番太くて、そこから上にしたがって細くなっていくが、円錐上に少しずつ細くなるのではなく、ある部分から急に細くなる。その部分から壊れるようになっているんだ」という理論があるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 要するに、一箇所壊れるとだるま落としみたく壊れるってことですね。

 この言動からも分かるように、建物の構造を見て、どの程度の揺れがあれば、どこがどう壊れるのか。そしてその壊れた箇所によって、建物がどう壊れるかをかなり綿密に計算して作られていることが分かる。

 だからこそ、未来ちゃんを始めとした様々な一人称視点を切り替えながら繰り出される、激しく揺れるカメラワークと、想定外の方向から落ちてくる瓦礫や照明器具などのアニメーションも、非常に恐怖を搔き立てられましたし、すごく合点がいく。

 

 

 

 

 

 

 他にも自衛隊、消防隊、海上保安庁にも取材して、彼らが災害時、どのルートを通っていくのか、そういう描写もかなり計算されている。

 

 

 

 

 

 また、建物の倒壊だけではない災害時のショッキングな演出もかなりこだわりがあって。

 公衆トイレの設備が壊れているので、自衛隊から支給される携帯トイレを使ったりだとか、病院の多い地域でも、医療現場がひっ迫していて怪我人の搬送が間に合わない状況だとか、亡くなったご遺族の死体安置場が描かれたりだとか、そこんとこを包み隠さず演出されているんですよね。

 

 

 

 

 

 言い方は悪いですが、大きな災害の被害をここ最近受けていないせいで平和ボケをかましている人ほど、公衆(または自宅の)トイレでうんこして、スーパーで沢山のお買い物をして沢山の料理をして家族と団欒を組んでいる日常生活が当たり前になっている現状が、我々はなんて贅沢な生活をしていて、浅はかな危機感で無防備な日々を過ごしてたんだって思わされるような、中々ドぎつい魅せ方だったと思いますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあこれらすべてを掘り下げようとも、僕の語彙力では語り切れないですし、ここら辺は観て楽しむ要素だと思っておりますので、実際にアニメを観たうえで体感して頂きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 また、題材上、避難行動をしている人々の様子も演出として描かれている。手描きだと全てを描き切るのに手間がかかるという理由なのか、一部CGで描かれていました。2016年版「ベルセルク」の引きの部分、寄りの部分両方も全てCGで描くゆえの群衆のアニメーション部分が背景よりも浮きやすくなっている問題は、あまり感じなかったかな。不用意に使うのではなくて、その緩急は上手くつけられていた印象を受けました。

 

 

 

 

 

 

 

 次回予告も含め、作中のテレビ中継シーンで出てくるアナウンサーの下りで、配役に滝川クリステルさんを起用している試みも、個人的にはアリ寄りのアリだと思いました。

 アフレコに込める想像力の奥深さが試される仕事である声優とて、いくら頑張ったところで演技に深みを出せる手法だったり、場面っていうのは限られてくる。だったら、それを補える畑の人を呼べばええやんって話なんです。

 これって恐らく出演料とか相当とられるだろうからアニメ業界だと中々やってるところを見たことがないんだけども、かなり有意義なことだと思うんですよね。

 

 

 

 

 

 去年やってたアニメで「オッドタクシー」っていうのがありましたが、架空の芸人がやっているラジオの下りで、そのアフレコに吉本興業所属のお笑い芸人の「ダイアン」のお二人をキャストとして迎え入れることで、なんかこう、関西芸人特有のラジオでのガヤガヤ感っていうんでしょうか、そこんとこのニッチなリアルさを演出するという面白い試みがありました。(おニ人には申し訳ないが)ラジオ以外のアフレコだと、さすがに棒読みが目立つのは隠しきれませんでしたが。

 

 

 

 

 

 

 この作品がやっている次回予告も、淡々と、そして簡潔に、災害の状況を暗示させるものになっている。またそれを伝える時の、可能な限り人間としての感情を殺して事実を報道するキャスターらしいイントネーションが、彼女がやるからこそすごく際立って聞こえましたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 音楽面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 OP演出も非常に秀逸でしたね。西川貴教さん特有の伸びのあるボーカルも最高なんですが、国会議事堂など、東京にまつわる様々な建物がM8.0の地震で崩壊したような悲惨な様子を1枚の切り絵にしたものを、どんどん繋いでいって、未来ちゃん達が歩いているという構成はきちんとストーリーをなぞっているし、ロードムービーものとしては非常に素晴らしい試みだったなと思います。その書き込み量もえげつかったと思います。

 

 

 

 

 

 EDも同様の演出が取られていましたし、曲の雰囲気もお洒落で良かったと思います。僕は好みではないですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考にさせて頂いた記事

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

aniotahosyu.hatenadiary.org

 

 

 

 

 

 

 

 

 

takitaki.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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www.gov-online.go.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

www.kantei.go.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

www.univcoop.or.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~最後に~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いかがでしたでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 地震の恐怖をダイレクトに、そして繊細に伝える為に、それで多くの大切なものを失ってもなお、大切なものって何なのだろうと、多くの事を考えさせられる内容でした。

 

 

 

 

 

 

 これから大人に向かっていく子供たちへ。

 

 

 

 

 

 

 親御さんが仕事などで忙しくて中々話せない日とかもあると思います。

 いつ災害が起きて、いつ病気におかされて、いつ離れ離れになるか分からないんだ。

 家族との団欒を大事にしてください。難しいことや、思い通りにいかないときは呆れるほどあることでしょう。反抗期になる気持ちも分かる。それでも、自分を見失わないで下さい。

 

 

 

 その限られた時間の中で、共通の趣味や友達の話、美味しいものを一杯食べたり、自分の抱えてる悩みとかがあったら、嘘などつかずに包み隠さず話すとかですね、時間を悔いのないように、有意義に使って、家族との思い出を多く作ってください。そして、支えてやってください。どんなにカッコ悪かったって良い。あなたが必死に生き抜こうという姿勢を見せるだけで、それが最大の親孝行になります。

 

 

 

 

 

 

 そして、大人の皆さんへ。

 

 

 

 

 お仕事で忙しくなる方もいるでしょう。家族を守るための防災対策もしっかり行うことも勿論そうですが、もしお子さんがおられる場合は、子育ても大変でしょう。特に身ごもっている女性の方だとか。

 なるべく耳を傾けたりしてあげて下さい。子供っていうのはあなたたちが思っている以上に無邪気だし、反発しやすいです。好きなことがあったり、気になったものを見つけたりすると、手に負えなくなる状況に嫌気がさす時もあると思います。それでもしっかりと話し合いの場を作って、なるべく互いに支え合えるよう努めて下さい。子を持たぬ方々も、きっと子供の時以上に上手くいかないことが多いでしょう。難しいことかもしれないけれど、それでも危機感をもって自分に何が出来るのか、よく考えて行動して下さい。どんなに過酷で、心が打ちのめされそうになっても、これだけは覚えておいてください。

 

 

 

 

 

 

 そしてこの拙いレビューを、最後まで読んで頂いた方々全員に、伝えたいことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 この作品のキャッチコピーは、「家族に会いたい、と初めて思った。」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あなたを待ってくれる人がいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あなたが会いたいと思う人がいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 転勤・転校、病気、災害などで離ればなれになろうとも、それは揺らぐことはありません。ひょんなことからも人っていうのは、色々なことを抱えて込んでしまう生き物だ。そして、それと同じくらい色々なことを忘れてしまう生き物だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「明日俺死ぬかもしれない」だとか、そんな悲観的なことは言わないで下さい。過去も現在も、未来でさえもクーリングオフできない。かけがえのないたった1つの、あなたの人生なんです。自分をいくら見失いそうになっても、このことを、死ぬまで未来永劫忘れないで頂きたい。

 しっかりと一歩一歩大地を踏みしめて、精一杯生きましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回の更新は、今日と同じ金曜日の20時半になります。

 

 

 

 

 

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 長ったらしい文章でしたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

 

 

 それでは次回、また会いましょう。