ゆるキャン△ 静かで澄んだ空のようなアウトドア日常系。
前回のレビュー記事はこちら↓ ↓ ↓
皆さん、こんばんは。ゼクショーです。
寒い所、いかがお過ごしでしょうか。山はとっくに真っ白ですけれども、ようやく平地にも積雪を観測するようになる、そういう時期になってきました。
ウインドブレーカーだとか、防水用の長靴だとか、手袋だとか、そういうのをまだ買っていないよという方は、今すぐにもされることをお勧めいたします。
あと、今週は近くにある食堂のチキンカツ定食が、最高に美味でしたね。
前回は、心温まる熱いジャンプストーリー作品をご紹介させて頂きましたが、今回は、より「冬」に観たくなるような作品をご用意させて頂きました。
僕自身がアクションものが好きであるという関係で、これまではアクション・ファンタジーものの記事が多めだった当ブログですが、今回は初めて「日常系」に分類される作品をレビューしたいと思います。
2018年冬アニメ、「ゆるキャン△」になります。
原作は「まんがタイムきららフォワード」(現在は移籍し、「COMIC FUZ」で連載中)で展開され始めた、きらら系にあたる漫画。
アニメ放送当時は高校1年生。僕がアニオタになったばかりのころに観た作品ですね。
僕は日常系はあまり見ないのですが、この作品に関しては当時ドハマりして見てました。
キャンプの知識はゼロに等しいので、あまり専門的なレビューはできませんが、素人視点で観てみて面白かったこと、印象深かったことを交えながらレビューしていきたいと思います。
0. あらすじ
※「U-NEXT」の配信ページより引用※
山梨に引っ越してきた女子高校生・なでしこは、富士山を見ようと自転車で本栖湖を訪れる。しかし、曇り空で富士山は望めず、疲れ果てた彼女はその場で眠ってしまう。夜が訪れ、見知らぬ土地で不安になっていた彼女は、ソロキャンプをしていたリンと出会い…。
1. シナリオ面
何気ない一言で、バシッと面白さが決まってくる、台詞回しのセンスで攻めるシナリオ重視アニメではなく、雰囲気アニメみたいなところがあるので、具体的に言語化が難しいですね。
ただキャンプ云々の前に、確かに良かったことがあって。
キャラクターは、全体的に自然体でセリフもくどくないというか、特にこいつがうざいっていうことはないですね。しいて言うなら、千明ちゃんが少々はしゃぎすぎってあたりかな。
アニメキャラによくいがちな、お金持ちのお嬢様気質な女の子のおかげで高いキャンプ道具が簡単に物が買えたりといった、いかにもアニメ臭い展開を用意しなかったのは、非常に良かったですね。
主人公の、リンちゃんのポジションも良いよね。
読書好き、コミュニケーションは積極的な部類ではないっていう特徴から、一瞬自分の世界に入っていたい自分勝手な陰キャなんかな~って思うんだけど、意外と無愛想という訳でもなくて、見ず知らずのなでしこをキャンプ場に匿って助けてあげたりするほど気の利いた性格をしているし、その気になれば、気がいなく自分の予定を他人に合わせる器の大きさもある。
そして、意外と表情豊か。あまりにドきつすぎてエスカレートしちゃうレベルを越えないような悪態をつくこともある。陽キャ設定を全面に押し出して、変にオーバーリアクションかまそうとする、キャピキャピした昨今のアニメ女主人公と違ってね、多くは語らないけど、引き際をよく分かっている憎めない一匹狼感が、僕的には好印象です。
そして、僕の推しキャラである各務原なでしこ氏も、また良いんだよね。
これはちょっとオタクが好き要素入っているかもしれん。
リンちゃんとは対照的に、無邪気でフレンドリーな人柄ではあるんだけれども、陰キャ、陽キャ、両陣営それぞれが形成しているパーソナルスペースに入り込んだときの引き際を分かっている感じが、ただのワイワイ系陽キャじゃないのが、憎めないところというか。
なでしこは、紆余曲折あって野クルに入ることになるんだけれども、そこにリンちゃんを誘うってときに、彼女に「ノリが嫌だ」という理由で断られてしまう。
「ラブライブ!スーパースター!!」だってメンバー勧誘の仕方が、根拠のない根性論押し出しじゃないすか。一度断られたら強引に「君にしかできないんだ」「いいじゃん!やろーよ~」の結論を連呼してるし。
アイドルにならなくとも、それなりに努力して、ルールを守りつつ普通に働いて、食って寝る生活ができるのに。押し一辺倒すぎて、ちょっとくどく感じてしまうんですよね。
能天気なところはあるけれども、他者の意思をリスペクトし空気を読むのは、まさしく日本人に必要なことですし、日本の女性らしさも感じますね。
あとそのコミュ力を生かして、ちょっと癖が強い野クルのメンバーと、リンちゃんとの距離を縮める架け橋になるっていう展開と、その存在感はすばらしいと思いました。
ソロキャンパーのリンちゃんと、キャンプ初心者のなでしこが本栖湖で出会うところから始まって、野外活動サークル(通称、野クル)のメンバーの視点を交互に切り替える形で進んでいくストーリーになっている。
物語的に締まんないで、自由な作風で最後まで突き抜けていくかと思えばそうではなくて、最終回のCパートで、少しばかりキャンパーとしての風格が出てきたなでしこの成長も見せて、二期の流れに繋げる終わり方をしているのも好印象。
物語の舞台、いわゆる聖地にあたる場所は山梨県あたりになるそうです。僕は全く行ったことがありませんが、その風景を楽しむといった楽しみ方だとか、あとはきららの日常系特有のキャラクターの萌え具合、掛け合いを楽しむといった楽しみ方もできるアニメだとは思います。僕がほかに読んだブログでもそういったことがよく書かれておりました。
個人的にこの作品の面白さというのは、純粋に「キャンプに行かない人たちに向けて、キャンプの楽しさや魅力を知ってほしい」、その一心で、様々な要素を突き詰めている面白さだと思うんですよね。
キャンプに関する知識が初級のものから、上級のものまで随所に埋め込まれてましたね。
テントの組み立てには非自立式と自立式があるよと、非自立式は軽量で持ち運びやすいけど、フレームが決まっておらず、パーツを組み立てるのが多くて大変。自立式はフレームが決まっていて、組み立てやすいけど持ち運びにくい。
テントを立てるコツは、適切な地面選びをせよと。あとテントが破れないようにシートもちゃんと敷いとけよ~~と。
特に非自立式はね。
風が強く吹いてきて、テントのパーツが何度も飛ばされそうになってたリンちゃんのシーンは、コミカル気味に描かれてはいますが、キャンプの厳しさも裏返しに表してて、僕は結構印象に残っていますね。
楽しさを重点的に作品を通して伝えているゆるキャン△ですが、キャンプの厳しさでいうなら、氷点下は余裕で下回る冬の山場キャンプでは、その気候だったりを調べたうえで、冬季用の寝袋と断熱マットなどの防寒グッズは必須だということも、随所に示しているところも関心深かったですね。
本作品で「\コンニチハ/」という文字が出てきたら、そこには松ぼっくりがいるということです。
ライターを持っていないから、火を起こせない。どうやって火を起こせばよいのか割らない。僕のようにキャンプのわからない人は、困ります。
そこで使うのは、松ぼっくり。特にカサの開いてるやつ。
いやなんで松ぼっくりなんだよと。
ソロキャン好きの主人公リンちゃんが、アニメでいとも簡単に着火させてるので、疑問に思うかもしれません。
調べてみたところ、カサの開いているものは空気的にもかなり乾燥していて、中に閉じ込めている水分量が少なくなっているので、酸素濃度が高くなり、燃えやすくなっていると。
なんとなく流し見で観たら、ほのぼのとキャンプやっている模様を観るのが楽しい、癒される~ってなるんだけど、こういう自然の摂理もそこはかとなく利用しているのも、面白いと思いましたね。
あとはこういった知識だけにとどまらず、応用的なチャレンジ要素も、野クル側、リンちゃん側、それぞれが試みていたのは面白かったですし、良かったと思います。
2. 演出面
この作品は、「Charlotte」などを作った「P.A.WORKS」や、「涼宮ハルヒの憂鬱」などを作っている「京都アニメーション」には及びませんが、所々風景作画にこだわっており、観光アニメとしての面白さも、演出されていたと思います。
山梨を舞台にしているということで、世界遺産にもなったあの場所も冒頭から出てきます。
一体、何でしょう?せ~~~~の!!!
富士山。
これは、第3話のものです。
富士山を雄大に見せる色彩表現もさることながら、下に生い茂っている木の色彩も暗いながらもよく表現されていますね。
そんで、別のエピソードの夕方バージョンもあるよ。他にも富士山カットはありますが、どれも個人的には鳥肌モンでした。
リンちゃんが撮っているこの夜景写真も、個人的には印象に残っておりますね。
常にリッチな作画を見せているわけではないんだけれども、所々で手の込んだ作画表現をしているので、皆さんぜひご覧ください。
3. 音楽面
OPは亜咲花さんが歌う、「Shiny days」。
なでしこをはじめとした野クルのメンバー、リンちゃん、そして恵那ちゃんが軽やかにキャンプの山に登っていく様を、アニメらしいポップな演出で詰め込んだものになっています。
曲自体もゴリゴリのポップ調で、気分をぶち上がりまったなしでございます。いわゆる飛ばせないOPに仕上がっていたのではないでしょうか。
EDは佐々木恵梨さんが歌う、「ふゆびより」。
どちらも非常に好きな曲なので推したい曲は迷いますが、こちらの方がゆるキャン△感を感じたかな。
曲調もエモくて、心温まるナンバーになっているんですが。
冒頭の「額に感じる澄んだ空気 吐く息が弾む」という歌詞から、冬場のキャンプのアウトドア感を演出していて、この作品の雰囲気に掴まれるんですよね。
「ひとりでいることのほうが好きだった」という歌詞と、後半の「ゆるやかなとき 一緒に過ごそう 君といれば 自然と笑顔になる」という歌詞の対比関係が、なでしこと出会う前の(ソロキャンの楽しみばかりに浸っていて、どちらかといえば少し)閉塞的だったリンちゃんと、なでしこと出会って以降の距離の縮まり方が分かりやすく表現されていましたし、「たわいのないこと 話しながら」という歌詞にも一切の毒気のない、気を張る必要のない緩さ、自由さが感じられるものでした。
いかがでしたでしょうか。
冬場にぴったりなアニメ作品ということで「ゆるキャン△」をレビューさせて頂いたわけですが、初めての日常系作品レビューということで、あまり深く掘り下げられなかったところも多かったと思います。正直、僕もこの作品の雰囲気は凄い好きなのですが、その魅力を上手く伝えられたかどうか不安でいっぱいです。
2期のレビューに関しても、要望があればコメント欄などで書いて頂ければ検討します。見たことのない方は、ぜひこの機会に観て頂くことをお勧めします。
あとこれは余談ですが、下記のTwitterアカウントの方でこのブログでは語っていないアニメについても呟いておりますので、興味がありましたらのぞいてみて下さい。
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それでは、次回の金曜日でまたお会いしましょう。