ゼクショーのアニメブログ

主に深夜アニメ30分枠のレビューをしていきます。毎週金曜日20:30更新!!※2023年4月以降から第2金曜日の20:30に更新予定※

カオス ; ヘッド-CHAOS;HEAD- 猟奇的な現実と妄想の境目を知る"その目、だれの目?"

前回の記事はこちら↓↓↓

 

 

 

 

xexiow06375.hatenablog.jp

 

 

 

 

 皆さん、こんばんは。はじめましての方ははじめまして。

 

 

 

 

 今年から就活生のゼクショーです。毎週金曜日20:30に更新するブログ活動とリアルとの両立もそろそろ考えなくてはと思っています...が、今やってる冬アニメが全然面白いのなさすぎて過去アニメ観るモチベがやたらと高い。

 

 

 

 

 今季放送中の映像業界の松竹とPCゲー業界のニトロプラスが共同で企画してるオリジナルアニメ、『REVENGER』。架空の歴史を辿った戦国時代の長崎を舞台にした時代劇作品ですけど......グロ表現が凄まじすぎて不意にニトロプラス作品を観たくなってしまったので、今週まで観てた同系列の作品をレビューしていきたいと思います。

 

 

 

 

 2008年放送、『カオスヘッド -CHAOS;HEAD-』です。

 

 

 

 

タイトルロゴとキービジュアル ※「dアニメストア」配信ページより引用※



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~作品概要~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アニメーション制作はシリアスな作風を得意とするマッドハウス。僕自身が比較的そういう系統の作品を好んでいる為、当ブログだとマッドハウス作品を語る事は割と多いです。原作は傑作『Steins;Gate』を生み出した志倉千代丸氏が脚本を手掛ける作品群「科学アドベンチャーシリーズ」の1作目で、5pb企画でニトロプラス発売の18禁ギャルゲー(ちなみにシュタゲはその2作目)。

 

 

 

 

 <<ニュージェネレーションの狂気>>と呼ばれる不可解で猟奇的な事件が連続して発生している東京の渋谷。引きこもり寸前の主人公が、ニュージェネの事件と思われるような残酷な画像をネットチャットで見たのを機にありもしない事件現場に巻き込まれていくサイコホラーサスペンスです。

 

 

 

 

 決して途中で切ろうと思う程魅力を感じない訳じゃないけど、観終わって思うと結果的にイマイチで気持ちの晴れない作品だったなと。まぁ嫌いじゃないんだけど、面白いって確信できる程良かった訳ではない。それでは、これからは率直に感じた事についてネタバレなしで語らせて頂きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本題

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物語は主に主人公西條拓巳の一人称視点で進んでいきます。猟奇的な事件を淡々と見せていく前半部分は、思ったよりも引きが強いしゾッとする緊迫感があって面白いんですよね。サイコパス作品として事件解決に持っていく為の振りの魅せ方は悪くない印象でした。

 

 

 

 

 その中でも特徴的なのは、度々繰り返される「その目、だれの目?」のフレーズとそれと同程度の頻度で出てくるサイコパス演出。各話のカットごとに様々なキャラの台詞や絵に散りばめられていますね。

 

 

 

 

 投身自殺しようとする男女5人組の1人が例のフレーズを言っていたり。拓巳が謎の人物から裏路地の壁に男性が十字架の杭に張り付けられてる画像を突然送られたり。こうした物騒な事件が発生する中で同級生のモブからもそのフレーズが発せられたり。拓巳の心情の変化と共に、ただひたすらに不気味な雰囲気で視聴者の恐怖を煽ってくる。後述する部分も含めて、どんどん世界観に魅入ってしまいましたね。さすが、さすが。かの傑作サスペンス『MONSTER』のアニメ化を見事に成し遂げた、マッドハウスらしさを感じられる。

 

 

 

 

 更に序盤の気味の悪さに拍車をかける象徴的な要素だと思うのは、拓巳の被害妄想シーンですね。

 

 

 

 

 後ほどまた触れますがこの作品が一貫してるテーマは、「実体と妄想の違いとは何か?」という事にある。隣にいる美少女ががいると水着姿などを想像する、嫁と豪語する美少女フィギュアを妄想で具現化する等の彼のイカレっぷりがギャグ調で表現されているが、これが一連の不可解な流れにおいても様々な意味でトリガーになっている。

 

 

 

 

 その張り付けの男性の殺害現場が撮影していた時間に拓巳はネカフェにいたのにも関わらず、何故か同時刻に自分の姿が映っている。そしてその殺害現場に使われた剣が、その事件の映像を観た後に彼の自宅に落ちている。事件発生前から引きこもり寸前の段階にまで落ちぶれている地点で現実を直視できない位精神が不安定である事は明白なのだが、本当にこいつはまともなのかと。

 

 

 

 

 また元々ギャルゲーだけあって、ひと癖あるキャラでヒロイン枠は固められてた印象です。あんな卑屈なヘタレ野郎にも妙に明るく振る舞おうとするピンク髪、儚げな雰囲気で厨二病拗らせまくる銀髪のバンドマン、テレパシーのようなもので会話する天然系金髪等々。

 

 

 

 

 そんな彼女達のほぼ全員が全く信用できないから、誰が味方になるか分からないスリルもあります。

 

 

 

 

 拓巳が一連の事件を観た後の妄想でピンク髪の女が彼を殺そうとするし。オタクグッズが欲しいと言って拓巳に謎に接触してきた女が突然病み出してお前がニュージェネの犯人だと詰め寄ってくるし。銀髪バンドマンは意味深な言葉で真意をはぐらかすし。あと彼女達が何もない空間から変な剣取り出すし、何が起きているんだこれはと。

 

 

 

 

 終いには拓巳の男友達のチャラ男まで本当に優しいのか疑わしくなる始末。これは妄想なのか、実体なのか?その境目が実にあやふやで不気味さが強いから切っても切れなかった。先が気になって気になって仕方がなかった。

 

 

 

 

 あとは銀髪バンドマンが歌ってる『磔のミサ』って曲が度々流れるんだけど、そのバンド曲が死ぬほどカッコ良すぎてそれを聴く為に観てたって所もあるかな。この記事書いてる時も作業用BGMとしてずっと流してたし、今結構ハマってます。

 

 

 

 

 そして後半。肝心の答え合わせはどのような感じだったのかと。どっかの雛見沢村みたいに精神病の類でしたっていうオチで種明かしすんのかな~~~って思ってたけど、求めてたものとはだいぶ違い過ぎた。あまりにもその理由付けが飛躍し過ぎていてガン萎えでした。

 

 

 

 

 猟奇的な事件の犯人、主人公や謎の剣の秘密の全てが"妄想を現実に投影する力がある"という設定のゴリ押しで片づけられてしまってるんですよね。

 

 

 

 

 散々一貫してきたはずの「実体と妄想の違いとは何か?」というテーマ。その答えとして、まるで"他者は、自分にとって都合の良い妄想だ”とでも言いたげな超展開に非常にウンザリしましたわ。

 

 

 

 

 『DEATH NOTE』は、(デスノートそのものはフィクションとはいえ)対象を死に至らしめる為の明確なルールを作ってそこで巧妙に物事の辻褄合わせて人殺ししたよ。某雛見沢村とて各章で物語の時間軸や死ぬ人が異なる設定に上手にフィクション絡めて納得のいく理由付けで見せてたぞ。この作品の場合は実に都合の良いファンタジー展開を見せつけられただけに過ぎないんですよね。

 

 

 

 

 推理系のアニメで例えるなら、とある豪華客船の密室で起きた奇怪な殺人を引きの強い演出で魅せて視聴者の期待を上げといて、肝心のトリックがテレポートの魔法を使って殺したっていう理由付けだったらそれをトリックって呼べますか?あれ位のガッカリ感がありますよね。

 

 

 

 

 ヒロイン達が剣を持つ事になった訳ありの過去も、割とダイジェスト気味に見せられてる気がしてもっと切り抜いて欲しいな~~~とも思ったし。1クールものだったけど、2クールかけてもうちっと丁寧に描けたんじゃないかな~~って思いますね。1クールでやるなら、いっそのことファンタジー設定抜かして普通の推理ものやった方が良いんじゃないかってレベルで酷過ぎた。

 

 

 

 

 冒頭でも言ったけど嫌いになる程作品に拒否反応示した訳じゃないし、グロ演出は比較的気に入ってます。引きの演出が強いから最後まで観ちゃうけど、ミステリー的な繋がりを考えた時に全然盛り上がらなかったよねって言うガッカリ感があるだけで。まぁ原作やった方が良さそうだな~~って感じでした。