ゼクショーのアニメブログ

主に深夜アニメ30分枠のレビューをしていきます。毎週金曜日20:30更新!!※2023年4月以降から第2金曜日の20:30に更新予定※

陰の実力者になりたくて! 主人公にも悪役にもならない戯曲を演じるヒーロー達。

前回の記事はこちら↓↓↓

 

 

 

 

xexiow06375.hatenablog.jp

 

 

 

 

 皆さん、こんばんは。

 

 

 

 

 今年から就活生のゼクショーです。来月から就活解禁なのでブログ作業との両立を考えなくてはいけない。今は色々と企業説明会を聞いて着々と準備を進めております。

 

 

 

 

 さて前期から継続して放送され、今週完結したあのラノベ原作アニメをレビューしていきたいと思います。

 

 

 

 

 『陰の実力者になりたくて!』です。

 

 

 

 

タイトルロゴとキービジュアル ※「dアニメストア」配信ページより引用※



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~作品概要~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全20話。Web小説投稿サイト「小説家になろう」初出の書籍化作品。アニメーション制作は『ダーウィンズゲーム』等を手掛けるNexus。個人的に注目してる、新進気鋭の制作会社です。

 

 

 

 

 ヒーローでも悪役でもない、物語の一幕に陰ながら介入する"陰の実力者"に憧れその身を鍛えた主人公。事故で命を失いシド・カゲノーとして転生した彼はその場の勢いとノリでその設定を楽しむ事にする。妄想ででっちあげた"ディアボロス教団"を倒すという名目とノリで仲間達を集め、シャドウガーデンを結成する。"シャドウ"と呼ばれ崇拝されているシド自身が、その存在が嘘から出た実だと知らぬまま、世界の闇に立ち向かっていく_________大まかにあらすじを言えば、このような感じですかね。

 

 

 

 

 結論から言うと露骨に厨二臭いし、深夜アニメらしく全体的に馬鹿馬鹿しくて面白かったです。僕自身厨二臭いラノベを読みまくってた時期があるので、嫌悪感はそこまでなかった。しかし他人に薦める程の傑作と呼ぶには程遠く、長所と短所の差が如実に出てしまっていた感じは否めないですね。

 

 

 

 

 それではこれから、率直に感じた印象を語っていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①主人公が"陰の実力者"を演じる意味

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶっちゃけた事言うと、回によってだいぶばらついていたイメージです。基本的には何らかの事件が起きて、その場の勢いとノリで実力を隠す方法を編み出して"陰の実力者"を演じる事になる。普段はモブに徹しながら、その独壇場を披露する機会を伺っていく。

 

 

 

 

 シドことシャドウは、本性を現した現場にいた者達に度々聞かれる。お前はそこまでして何をしたいんだと。

 

 

 

 

 それをしたがる気持ちや意図を一々はぐらかすから、はっきりとした色が見えてこない。厨二臭くてカッコ良い男主人公って位置づけで話を進めたいんだろうが、まずそんな彼に感情移入する取っ掛かりを作る段階でそうした描写が障壁になっている。その状態でシャドウガーデンの長であるシャドウとして敵を弄ぶ俺TUEEE描写を見せられた所で、ただただ大げさにイキり散らしてるようにしか見えないんですよね。

 

 

 

 

 そんなイタイノリまで観て笑えと。事件の流れを勘違いし過ぎて相手と噛み合わないその流れを笑えって言ってる作品だけど、嫌々意味が分からなくてついていけない。ある意味この手の異世界転生モノの主人公がイキリ出す流れを皮肉るような側面もある中で、そういう工夫もあまり見られなかった。

 

 

 

 

 ジャンルこそ違うが実力隠す系主人公作品の代表例と言えば、『コードギアス 反逆のルルーシュ』を頭に思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれない。ブリタニア帝国に日本が植民地として占領された世界で、祖国ブリタニアに復讐するべく身分を偽って密かに動くルルーシュの物語。

 

 

 

 

 ルルーシュが他人に嘘をついてまでブリタニアを滅ぼしたいと願うのは、大切の人と過ごした大切な日常を守りながら殺された母の仇討ちをしたいという強い行動原理があるから。こうした強固な理由によって主人公に色が生まれ、他のキャラをも引き立たせる事ではじめて復讐劇にドラマが生まれている。疼く右目を開けて敵に呪いをかける様な厨二臭いノリをしてるだけじゃなくて、ちゃんとそこに感動できる要素があるんですよ。

 

 

 

 

 シャドウ自ら表に出て敵と戦う過程で、こうした取っ掛かりを作れてないのは残念でしたね。良くも悪くも狂人ってイメージが先行してて、最後まで愛せなかった主人公でした。

 

 

 

 

 ただ彼が陰の実力者を演じてない(またはその取っ掛かりを作っている)時のモブ演技までつまらないかと言えば、そうではない。むしろそっちの方がミソで、シュールで笑えるんですよね。

 

 

 

 

 転生前から、陰の実力者設定を楽しむ厨二臭い趣味しか持ち合わせないシド。他には何にも興味がないので、モブキャラらしく最低限の人間関係しか築こうとしない所が面白いですね。

 

 

 

 

 特に印象に残ってるのが3話で、シドが魔法学園に入学して早々先輩のアレクシア王女と偽の交際を始める事になる回。

 

 

 

 

 『ソードアート・オンライン』のキリトアスナたちを口説くみたいに、ナチュラルにイキって甘く誘い込むのかと思いきや.......キモオタ笑いを表した2ちゃんねるスラングの如く、デュフデュフ言いながら告白する所だとか。王女と付き合ってるという色男ムードを無駄に広められたくないから「さっさと振ってもらおう」と図々しい行動をとる所だとか.......意地でも目立ちたくないその行動に全力を懸けてる光景が滑稽過ぎて、観ててクスリと笑えるんですよね。

 

 

 

 

 男友達の連れや生徒会長といった先輩までシャドウガーデン以外の他人の話には無気力かつ適当に相槌を打ってる所も、主演の山下誠一郎さんのアフレコ含めて実にシュールで良かったと思います。

 

 

 

 

 他にも大量出血して死ぬのを避ける為に心臓の位置をずらすバトル描写や、雑魚なモブキャラらしくわざと倒れる戦法をとる所なんかも馬鹿馬鹿しくて面白かった。Nexusは元請一作目の『グランベルム』でロボ作画を全部で手描きで描き分けてた時期からそうだけど、全体的に映像クオリティが高い。それが終始安定してただけに、もっと突き抜けるべき部分は突き抜けて欲しかったな~~っていうガッカリ感はありますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②"七陰"の立ち回り方について

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 七陰っていうのはシャドウガーデンにおけるシャドウの部下の筆頭的な存在。所謂ヒロイン枠。第一席のアルファ以外はシャドウの事を崇拝していて(アルファ自身は対等な友として接している)、彼が気まぐれな"陰の実力者"生活を謳歌できるような精鋭揃いの心強い存在です。

 

 

 

 

 PVから分かりますが、見た目やアフレコの相乗効果も相まってか普通に可愛く思えてくる。テンプレ異世界物にしてはキャラデザがそれなりに個性的なので、まずオタクらはそれにつられてこの作品を観始めるはず。見た目だけでアニメ語るのは盲目過ぎるからあんま言いたくないけど、僕もそうだったし。素材が悪くないから、どうやって彼女達に華を添えてくれるのかなって期待感が生まれる訳です。

 

 

 

 

 シャドウ様を差し置いて彼女達専用のキャラソンEDが使われる優遇っぷりもある。それにも関わらず、いざ展開の山場だって時に限って彼女達の活躍が少ないのはいかがなものか。シャドウの厨二臭いノリに振り回された後の精神的苦痛に耐えた後の癒しを嗜むって言うのもアレだが.........彼女達を見てアガレるようなキャラアニメとしての世界線も見たかったです。

 

 

 

 

 構成員のほとんどが人外の存在で占められてます。主人公が転生前の元日本人で、世界の事件の裏で独自の目的のもとに暗躍する。

 

 

 

 

 あれあれェェェ?これってもしかしてェ、『オーバーロード』やないかと。

 

 

 

 

 言い方悪いけどそのカッコ良い部分があまり見れてない。キャラごとの役割をはっきりとさせつつ、皮肉の効いた脚本と共に敵キャラをズタズタに弄ぶナザリックの連中と比べるとあまり上手な魅せ方は出来てなかった印象。その某作品と同じO×Tが歌ってる壮大なOPに見合う活躍が満足に見れたとは言い難い。

 

 

 

 

 彼女達の日常を割と長く切り抜いてくれる回が1クール目後半に1話だけ差し込まれるっていうのも、タイミングが遅すぎるしあまりにも掘り下げ不足。その不足分をショートアニメの『かげじつ!』で補おうという構成も後味悪い。どれだけ物語のレールにシャドウのイキリ芸を乗せたいんやって感じざるを得なかったです。

 

 

 

 

 繰り返し言うけど、本当に可愛いんですよ?水瀬いのりさんが演じてる銀髪青目エルフの大変けしから..............誠にご立派なアレが〇揺れをする所もエロ可愛いんすよ。えっちゃんええんすよ。もっと可愛い表情や日常を切り抜けば、同じ角川のラノベ系列の『Re:ゼロから始める異世界生活』のレムラムみたいに、魅力的なヒロインが作品の人気を引っ張る現象も起こりかねないと思ってるし。そういう意味でも、手ごたえはあんまなかったっすね。

 

 

 

 去年の秋クールから今年の冬クールに至るまで約半年間放送してましたけど、正直クオリティは両クール通じて一番高かったんじゃないかって思ってます。それでも最終的に感じた満足度的には、良作寄りの凡作って印象が強かったかな。