ゼクショーのアニメブログ

主に深夜アニメ30分枠のレビューをしていきます。毎週金曜日20:30更新!!※2023年4月以降から第2金曜日の20:30に更新予定※

宇宙よりも遠い場所 総評

前回の記事はこちら↓↓↓

 

 

 

 

xexiow06375.hatenablog.jp

 

 

 

 

 皆さん、こんばんは。はじめましての方ははじめまして。

 

 

 

 

 今年で就活生になるゼクショーです。

 

 

 

 

 普段は金曜日に更新してる当ブログですが、今回は変則的に月曜日に更新。

 

 

 

 

 本日私は誕生日を迎え、21歳になりました。この年齢になって心変わった事と言えばさほど大きな事はないけども、親権による制限から色々解放される事による責任感がここ1年でより強まったって所でしょうか。

 

 

 

 

 僕自身もアニメを観始めて6年間。今回は特別な日である事で、このタイミングでアニメ人生で特に印象深い作品を語っていこうと思います。

 

 

 

 

 2018年放送、『宇宙よりも遠い場所』です。

 

 

 

 

タイトルロゴとキービジュアル ※「dアニメストア」より引用※



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~作品概要~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オリジナルTVアニメです。監督・脚本・アニメーション制作は以前ご紹介した『ノーゲーム・ノーライフ』と同じスタッフ陣が担当します。

 

 

 

 

 学校生活で大した事を何もしてこなかった少女が、行方不明になった母親を探すために本気で南極を目指す少女と共に南極を目指していくストーリーです。2話、3話とキャラが増えていって最終的には4人で南極に行く事に。

 

 

 

 

 初めに総括していくと、5年に1回出るかどうかの名作だと思ってます。この作品がもたらした衝撃や感動は尋常なもんじゃない。リアルタイムで追えた作品の中で1番の誇りにすら思ってます。数字的な商業効果や原画枚数のクオリティでこれを上回ってる作品も勿論あるけど、記憶を消してもう1度観たいと思う程魂を揺さぶってくれた新作アニメなんてこの作品以降出てきてません。それ位アニメ好きである熱意を呼び覚ましてくれると共に、強く背中を押してくれる作品だと思っています。

 

 

 

 

 それでは早速語っていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本題

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 普通の高校生でしかない彼女達が、南極で刺激を受けながら青春する_________あらすじだけ読み取るとなんやこの現実味のない設定はと。そんな危険な場所行ってそこまでする余裕あんのかと。あまりにもハードルの高すぎる事を、本当にドラマチックに描けるんかと1話を見た段階では疑う訳です。

 

 

 

 

 ただこの作品が本物やと確信すんのは、東京の新宿で何のとりえもない主人公の玉木マリと母親を探している小淵沢報瀬、そしてこの話で新しく仲間に加わる三宅日向がある大人2人と鬼ごっこをする2話のワンシーン。展開の前後に色々とひと悶着ありますけど、夜の新宿という非日常な風景で3人を全力疾走させる演出が非日常な構図だからこそアガレる。

 

 

 

 

 南極という未知の世界へのワクワクドキドキ感を同時に臨場感をもって伝えてくる。この後先を考えてるのか考えてないのか分からないアンバランスな行動が、訳も分からずに若さの勢いに任せる事こそが青春してるって事なんだなって実感した。

 

 

 

 

 僕的にド田舎に産まれた身としては、学校の修学旅行で初めて東京行った時の衝撃は素直に大きすぎた。限定的な行動範囲で散策する時間が取られた時は、見慣れぬビル街を大量に写真撮ったあのワクワク感に似ているかもしれないっすね。

 

 

 

 

 この後南極に行く流れになったっつっても、緻密に順序立てて計画通りに努力して観測隊に入った訳でもない。本当に素人同然な事しまくるけど、ひと一倍の熱意を感じさせる強い行動を起こすからこそチャンスが生まれる。これを丁寧な展開の積み重ねで描くからこそ、彼女達4人の不器用な努力が身を結ぶ所で盛り上がれる。この美少女×青春群青劇の脚本を数多く手がけてきた花田十輝氏こそ為せる業だと言わんばかりに、爆発力の高いストレートな感情表現を随所に見せてくるんですよね。

 

 

 

 南極観測隊に入ってからも海上自衛隊文部科学省国立極地研究所監修によるハードな訓練描写や衣食住の描写も抜かりなくリアルに見せてくる訳だが、その南極に行く迄の過程を描くうえでの脚本と展開の運び方が巧みなので心から感動できる。

 

 

 

 

 青春の刺激が少ない平凡な少女、友達の居ないアイドル、ある事情で学校に行ってない元学生、南極で遭難して以来会ってない母を探す娘。

 

 

 

 

 それぞれ特徴や南極に行く経緯が異なるこの4人を、ゆっくりと物語に馴染ませる間合いをとるのが非常に上手い。

 オーストリアに寄って閑話休題した回は、さすがに日常回テイスト多めにし過ぎてテンポ悪すぎた印象はあるが........10代特有の無鉄砲な描写は終始徹底されてるしそれすら愛しても良いと思えるほどに、一人ひとりが自然体なキャラで印象深かった。中盤に行く頃には、ごく普通のキャラだったはずのマリの笑顔ですら輝いて見えるもん。

 

 

 

 

 最近のアニメは(特にソシャゲ販促アニメに多い傾向にあると思うが)1話に見知らぬメインキャラクターを一気に出す事が多いんですよ。最初に出てきたキャラに感情移入もさせるタイミングすら視聴者に与えず、今度は3・4人くらい増やすアニメなんてざらにある。展開の盛り上がりを作る大前提として、そんな事を決してしてない。

 

 

 

 その上でこうした積み重ねがあるから、散々クラスメイトから南極に行く事をバカにされてきた報瀬がいざ南極に到着して、シンプルに皆で「ざまぁみろ!」と言い放つシーンがバッチリ決まる訳ですよね。まぁ勿論それ以外にもネタバレせずには語れないシーンは沢山あるがカットで。

 

 

 

 

 更にこの4人を愛せるポイントとしては、4人それぞれにある心の闇の部分に向き合う過程がこれまた自然体で描かれている所が肝になっているかなと。勿論シリアスに描いてはくるんだけれども、ずっしりと重い感情を押し付けられるよりかは2話以降徹底してる様にリアルな青春模様を交えて描いてるので重さを感じさせない。

 『DEATH NOTE』等の比較的陰鬱な作風を得意としてきたマッドハウスであれば、もっとそうやって消化できたはずだけどそれをしなかった。むしろその青臭さを存分に生かしたドラマを見せてくれるんですよね。

 

 

 

 

 常に熱い灯火の火を絶やさなかった花田十輝脚本が1番に燃え上がったのは、終盤の展開にある。日向が南極に行った実情に深く入り込む11話も語りたい位本当に素晴らしかったんですけど、この作品を傑作と言わざるを得ないまでに昇華させた回こそ12話でしょう。サブタイトルは本編と同じ宇宙よりも遠い場所』。

 

 

 

 

 ここで満を持してメインスポットを当てられるのが報瀬。南極で母を亡くしてしまった彼女は4人の中でも1番南極に行く思いが強かった。南極に行く事だけが目的で生きてきた彼女は、南極に行っても心に穴が開いたまま変われない自分に悩み続ける。母が亡くなった場所を探して実感する迄の流れと演出こそ、この作品を象徴する様な圧巻の出来でしたよ。

 

 

 

 

 薄々分かってはいたけども、母はいつか戻ってくるはずだっていう叶わぬ予感に囚われていた報瀬の心を叩き起こすようなね。南極に行ってなすべきことを成し遂げた彼女の心の叫びと涙。このシーンを描き切る為にこのキャラと舞台があったと言わんばかりに完璧。実力派声優花澤香菜さんのアフレコや、このシーンを描き切るに踏み切った制作陣の度量に感服するしかない。間違いなくここ5・6年で1番感情を揺さぶられた瞬間でしたね。

 

 

 

 

 小手先で面白かった回をその場でアガッた感情だけで神回神回だって言ってる奴いるけど、本当の意味での神回というのはこの話の為にあるようなものだって思える。

 

 

 

 

 普通のアニメだったらここで終わって良いはずなんですよ。尺的にも十分だし、もうこれで1クールですよって言われても呑めちゃうもん。それがあともう1話あるんすよね。普通のアニメだったらOVAでって切り離しちゃいそうな回だけど、それをしっかり本編の回に組み込んで4人の未来を見せてくれた所も非常に良かったですね。

 

 

 

 

 改めて思うと、平成最後にこれだけ泣かせられるアニメが来た衝撃はでかかった。まぁこれは当然僕だけではなくて、海外からも一定の評価を受けてます。世界で最も有名な新聞紙であるニューヨークタイムズが「2018年ベストTV番組」と題して、世界各国の様々なジャンルの番組の中からこの作品を10選に選出しました。アニメだけじゃないっすよ。TV番組全般ですよ。

 

 

 

 

 海外も激賞する程のパワーを持っているこの作品を今日はどうしても語りたかった。正直これでも語り切れてない位思い入れは深い作品です。未視聴の方は、これを機に是非とも見て頂きたいですね。