機動戦士ガンダム 水星の魔女(1クール目) 総評
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皆さん、こんばんは。
はじめましての方は、はじめまして。現役大学生のゼクショーです。
空前絶後の異世界テンプレ物ラッシュに頭痛が止まらない、2023年冬アニメ。今週で新作は大方出揃う感じですかね。
本当は今期の華を添える作品をいろいろ語っていきたいんですけど、そこは3月頃までネタとしてとっておいてと。1話の印象と最終回の印象ってだいぶ変わっていくもんですからね。最終的な印象で語り尽くしたい所はあるし。
今回は2022年秋アニメで恐らく最も遅い最終回を迎えた、あの話題作を語らせていただきます。
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の1クール目になります。
~作品概要~
制作はBN Pictures。実質的にはバンダイナムコ系列の子会社だったサンライズと同じですね。会社体制の変更により社名ごと変わったけど、ブランド名として残ってます。
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』以来5年ぶりとなる、夕方枠のガンダム系列作品。分割2クール作品で、今年の4月まで後半戦はお預けとなります。
宇宙産業の大手ベネリットグループが経営する学園に、""禁忌"とされる特異な戦闘機体のガンダムを操る水星育ちのスレッタ・マーキュリーが編入する。内向的な彼女が慌ただしい学生生活を送りながら、様々な宇宙勢力の陰謀に巻き込まれていく_______ざっとこういう内容です。
実は僕、ガンダムシリーズをほぼ見たことがありません。中高生の時にオルフェンズを見ていたぐらいです。特別メカ物にロマンを感じてる訳でもなければ、興味もない。シリーズの約束事なんか全く覚えてないし、色々作品ありすぎて見ようにも何を見るべきか分からない。
今回「シリーズ初の単独女性主人公」、「学園要素」、「ガンダム初心者向けのガンダム作品にする」をモットーに作られた本作なら、僕もある程度入り込めるのではないか.......と思って見させて頂きました。このブログ自体も基本深夜アニメばっかり取り扱ってきたし、たまにはこういう夕方枠を語るのも良いかな....と。
まだ途中段階だけど、現地点で正直に思った印象を語らせて頂きますね。
本題
オルフェンズしか観ず、ガンプラもろくに作ってない。イマイチこのシリーズの理解が足りてない、ほぼ初心者の僕が言います。
まずそもそも、"初見にも優しいガンダム"を作るっていう根底の部分が有言実行できてないんじゃないかと。
作中における"ガンダム"が禁忌とされるようになる迄が描かれる0話の地点で、僕は全くついていけなかったのが正直なところ。初見を殺しにかかる程話が鬼難しいとかじゃなくて、ややこしいなって感じ。
企業の宇宙進出が進んで対立する、地球居住者のアーシアンと宇宙移住者のスペーシアン。作中固有の単語なんだろうな.....って感じる所は成る程となるけども。......そんな中、流れる様に出てくるモビルスーツって単語。ファンの方からすれば基本中の基本って感覚なんだろうけど、正直あれ何なんですのってなっちゃった。
スーツってあるから普通の宇宙服とは違う、ガンダムに乗る操縦者専用のパイロットスーツの事なんかな.....って考えたりしたんですよ。宇宙服と明らかに形状やデザイン違うし。
調べてみりゃあ有人人型兵器そのものの名称で、ガンダム=ほぼモビルスーツって事なんだねって。これをなんか分かってる前提みたいなノリでやられるから、0話の最後のシーンで機体に関するシリアスな下りになってもイマイチ気分が乗らなかった。
勿論機体のアクションめちゃくちゃカッコ良いですよ。プロローグに限った事ではないけど。
オルフェンズ観ていた時から分かっていたし、他の作品のPVがたまにネットに流れてくるのを見る時もサンライズのロボアクションへの熱意は凄まじいなって思ってたんで、今回も改めて凄まじいなと。
ただあんだけ凄いものを見せられても鳥肌が立たないのは、キャラを深く掘るよりもそのアクション演出寄りに構成のパラメータを振ってしまっているから。
素晴らしいクオリティに頼り切って、キャラよりロボ戦闘を優先する魅せ方って僕は粗削りだなって思ってしまうタイプ。この作品がそうならないでと願ってたけど、それは叶わなかった。
その命を懸けて戦うキャラにある程度同情する余裕を視聴者に与えて初めて、そのキャラクターが戦う部分に熱くなれるって僕は考えてるんですよ。
僕は好きなロボットアニメって聞かれてほぼ答えられるもんないけど、そんな数少ない作品で共通してんのは人情の描写でその恩恵が少なからずあるって事。例えば『SSSS.DYNAZENON』はロボットを乗る事を理由にしてメインの男女がお近づきになり、互いの知人を守る為に戦うみたいな.......ああいう方がドラマチックで好きなんですよ。
人間ってのは生き残る目的や誇りの為に戦うのであって、戦争で傷つけられる駒のように戦わされてる構図って命を軽んじてるように感じちゃって熱くなれない。
それで特有のガンダム要素で初心者を混乱させる仕打ちもすんなら、もうちょっと基本を抑える描写も入れて欲しかったかな~~~とは思いました。
学生間での面倒な揉め事もほぼほぼ"決闘"っていう、己の大事なものを賭け合う謎の行事で解決させようとする所。カジノみたいな意地汚さ....とまでは言うつもりないけど、あれをわざわざ若い奴らにやらせる意味が分からないと。ましてや子供観るような夕方の時間に。
そして、それを展開のクライマックスに持っていこうとする所.........あんま好きじゃなかったかな。そういうイベントに限って学生達がこぞって「決闘」連呼してる地点で、戦いの方を優先させ過ぎてんのが目に見える。
あとスレッタ役の市ノ瀬加那さんのアフレコが、声が意外にこもり気味なのは気になりました。感情が高ぶって叫ぶ場面の時が顕著で、もっと呼吸するように腹から声出せや......っていう風に思いました。
その反面、戦わない部分の描写は意外に悪くないなと。......むしろこういう描写があるおかげで全体的に楽しめたし、僕はこの作品を切らずに済んだとまで思ってますね。
学園生活の裏でガンダムに関する色々な陰謀が働いている中で、主要人物の中には訳ありで家族関係がこじれているキャラが何人かいるんですよね。彼らとその親の「親にふりまわされる子供」の構図から、話を発展させていった魅せ方が意外にできてた。
子供が大人に成長するってどういう事なのか。大人がその真理を突いて、成長する切っ掛けを与えてくれるような深い回もあった。
(母親を除けば、)スレッタにとって最大の理解者であるミオリネちゃんの成長描写が特に良かった。
特に7話。ガンダムを認めぬ輩との論戦が繰り広げられた回。
彼女は、ベネリットグループの総裁で頑なに自分の意見を曲げないお偉いさんの父を持つ。自分の人生のほぼ全てを振り回してきた事に反発して「クソ親父」と罵るような女の子。
閉鎖的でストレスのかかる生活から抜け出したい所でスレッタに出会い、抜け出せずにいる。自立する目的に反した行動をとるその精神的な未熟さや、父のおかげで自分がより良い生活を得られている事をその場に居合わせたスレッタの母親に煽られてる所が非常に痛快。
最後には確執を捨てる強い覚悟を見せて、親の権力や地位を利用してガンダム反対派を黙らせるまでの流れとかも熱かったと思います。
本作が今の若者オタク受けを狙っているのを象徴する、百合百合しさも良い。
非常識で超が付くほどのクソコミュ障で、常におどおどしてるようなスレッタ。その態度や行動に鬱陶しさを覚えながらも、1人の信頼できる人間として不器用ながら向き合っているミオリネちゃん。距離感が近づくにつれて彼女への喝の入れ方も過保護気味になっていく所がなんとも可愛らしい。
まあ最近は、ロボアクションアニメとして見るのを捨てて百合萌えアニメとしてシンプルに楽しみたい位まで思ってます。ファンはよく考察とかロボットデザインが〇〇のガンダムに似てる~~みたいな会話がTwitter上で流れてきてますが、そんなんどうでもいい。初心者向けに新しいガンダム作るんなら、昔ではなかったであろうこういう路線を続けて欲しい。でも、初見を置いてきぼりにして迄シリーズの約束事に乗っ取って結局戦わせないと本筋進められなさそうやな........って思う最終回でした。
粗を感じた所は今回挙げた以外にも色々あるものの、こういうポップで良い部分を見つけられてからは普通に楽しめてますし、2クール目も続けて見させて頂こうかなって思い始めてます。楽しみですね。