シャドーハウス "顔"なき一族と、その"顔"役が住まいし館の非日常ミステリー。
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皆さん、こんばんは。はじめましての方は、はじめまして。
現役大学生のゼクショーです。
2022年夏クールが続々と始まって参りました。すでに僕も10作品近くの新作を観ております。
今回は、今日の深夜帯に続編のオンエアを控えるあの作品を語っていこうと思います。タイミングを中々掴めず、ずっと語ってこなかったこともありますし。
2021年春アニメ、「シャドーハウス」をレビューさせて頂きます。
~作品概要~
原作は、『週刊ヤングジャンプ』で連載されている漫画になります。
舞台となるのは、貴族の真似事をする顔のない謎の一族「シャドー」と、顔があって彼らに仕える「生き人形」と呼ばれる者たちが暮らしている洋館「シャドーハウス」。
シャドー一族のケイト、彼女に仕えるエミリコが他のシャドーや生き人形たちと関わりながら、館の謎を追っていく_________という物語になります。
僕は、原作を買っても後悔しないと言えるアニメ作品に出会わない限り、原則として買わないスタンスをとっています。
年間単位で漫画を買う頻度は、せいぜい指で数えられる程度。アニメ化すると踏んだ話題作は勿論基本的に追わないし、何よりもアニメで観る楽しみを減らすような娯楽の楽しみ方をしたくない。
でもこの作品は、原作を一瞬買おうか迷ったくらい好きです。この後どこに惹かれたか詳しく話しますけど、最終回は綺麗に終わったので続編は来ないと覚悟してただけに、放送終了後早々に2期が決まって唖然としました。めちゃくちゃ嬉しかったし、今年の7月に続編やると聞いて絶対に身体壊せねえなと思いました。
ネタバレはほぼしません。すでに1期を観られている方もそうではない方も、どういう特徴を持った作品だったのかを書き溜めておきましたので、参考にして頂けると嬉しいです。
さて、そろそろ本題に移るとしましょう。
~本題~
①エミリコのひたむきな明るさ
一応主人公的なポジションに当たるエミリコですが、とにかくひたむきに明るくて、可愛らしいんですよね。
彼女は複雑な思考やそれに基づく人への配慮は得意ではなく、どちらかといえば本能的。いついかなる時も何事も前向きに捉え、その行動力もかなり大胆なものです。
それによって様々なトラブルを起こしてますし、ケイトにもしばしば迷惑をかけます。人によっちゃあ脳内お花畑過ぎるやろだとか、ウザすぎると思われるかもしれません。それでも僕は彼女が好きで仕方がないのです。
例えば、シャドーや生き人形は毎朝の朝食として、パンを分け与えられる展開がある。
シャドーの方が立場上生き人形よりも上のレベルの位置にいるので、彼らには美味しさたっぷりのパンを、下の位置にいる生き人形には簡素で劣悪なパンを食べさせられます。
でもエミリコはそれを美味しいと言う。全く飾り気のない、満面の笑みを浮かべてパンをおいしく味わえたことを全力で喜ぶ。そのおいしさのあまり飛び上がったり、床にゴロゴロ転がったりする。
全てはたった一人の主であるケイトを幸せにするただその一心にある。
馬鹿馬鹿しいかもしれないけど、そこにめちゃくちゃ健気さが溢れてんのがすっげえ良くて心から愛せるようになる。顔が見えず、可愛いかもわからねえ一族と話しているというメルヘン感マシマシな雰囲気が、さらに際立って面白くなったというか。
他にもケイトの顔が見えない設定を利用した、エミリコと彼女のある掛け合いも良くて。
ケイトが、エミリコは私の「顔」のような存在なのだと言う。何もエミリコ側が喜ぶことをしてない状況で、笑顔を作ってみせてと少し無茶ぶりをする場面がある。
普通のやつがこの無茶ぶりを急に振られれば不格好な笑顔になりがちだと思うんだけど、エミリコは、何も起こってないのに無邪気に大笑いするんですよね。
なんでそこまでして自分の直感のままにケイト様を信じて、従順であろうとするのかと。その意思の強さが面白い。
この大胆な行動をエミリコは常に真面目な態度でやってるってことと、この行動を何回も起こすことで、視聴者が自然とエミリコのとりk...........いえ、生き人形になり、自然な速度で我々の感情にダイレクトアタックしてくるズルい構成になってるのが気持ち良いですね。
「王様ランキング」のボッジが、耳が聴こえないから言語を上手く認識できないうえに、身体能力もからっきしだから王の器にはなれないといわれた辛い状況を乗り越える過程で、彼のひたむきな前向きさを表した展開が突き抜けたからこそ視聴者が感情移入できたように。
芸術は突き抜ければ大きいものになる.....それを凄くダイレクトに感じましたね。
あと、CVを務められる篠原侑(ささはらゆう)さんのアフレコがめちゃくちゃ可愛かったってことも個人的にはポイント高いです。ぜひそのアフレコも含めてお楽しみ頂ければなと思います。
②ケイトのキャラクター性
ケイト様のキャラクターも良いですね。エミリコに掃除や紅茶の入れ方の手ほどきをしたり、理知的で気品があるのでめったに取り乱さないようなキャラだと思いきや、エミリコが生き人形の仕事で長く駆り出せると嫉妬したりする感情的な一面がある。顔が見えないから無機質な雰囲気はあるんだけど、そこにキャッチーな一面に心が掴まれる。
このキャラクターの特徴が生かされたのは、アニメの範囲だと中盤辺りのお披露目回。これはぜひ実際にその素晴らしさを観て感じて頂きたいので、あんま詳しくは語りませんが。
まあ所謂シャドーと生き人形の格付けチェックみたいなもんっすね。ケイト自身も緊張したりして不安な状態を晒すこともあるのに、エミリコが持ち前の非常識な発想で変な行動を起こしてやらかして不安になると、彼女に対して優し気を残しつつ芯の強さを感じる一言をかけて、自分の不安をごまかすところとかも性格の良さが凄い出てて良いんだよね。
道中で立ちはだかる様々な試練を2人が起こす斜め上の展開で乗り越えるところも凄いし、正反対な性格の2人がお互いに支え合うこの関係性が尊く感じずにはいられなかったですね。
ただ一方でこのキャラの特徴は、弱い部分も持っていて。
彼女はエミリコほど感情表現の豊かさや行動の大胆さがあるという訳ではないから、終盤で顕著となったエミリコが物語の絶対的な主体とならない展開では、エミリコとの関係性でその特徴が生かされるキャラクター性があまり浮き出てこなかった印象です。
エミリコは別にあのままで良いんすよ。ケイトの顔に留まらず、このアニメの顔なんですから。我々に驚きや興味を惹かせる作中の素晴らしい展開の多くは、彼女がしっかりと起点になっていて強みを感じますし。
割と中盤までは館の中に潜む謎の真相に近づく過程だとか、シャドーと生き人形の会話の掛け合いの雰囲気で面白い状態を保っていただけに、そこんとこの落差が激しかったかなと思います。
まあ粗が多少あるとはいえども、全体を通してみれば普通に面白いことには変わりないです。
基本的にはエミリコのケイトに対する健気さや誰もが驚くような行動力、ケイトの知的でクールな性格の中に隠れてる心の弱みやエミリコを思う気持ちに注目して観て頂きたいのですが、2人の同期にあたるキャラクターも普通に魅力的だと思いました。
冷静な性格だけど頑固で売られた喧嘩は買うショーン、強気な自信家だが想定外の状況に弱いリッキーなど、他にも個性的なキャラクターが揃ってますからそこも楽しんで頂けたらなと思います。そして気に入っていただければ、ぜひ第2期の方も観て頂きたいですね。