ゼクショーのアニメブログ

主に深夜アニメ30分枠のレビューをしていきます。毎週金曜日20:30更新!!※2023年4月以降から第2金曜日の20:30に更新予定※

天体戦士サンレッド 脱力感を纏いしヒーロー日常系コメディ、ここに極まれり。

前回の記事はこちら↓↓↓

 

xexiow06375.hatenablog.jp

 

 

 

 

 皆さん、こんばんは。はじめましての方は、はじめまして。

 

 

 

 

 現役大学生のゼクショーです。

 

 

 

 

 前回の雑記記事を挟むと、2週間ぶりのレビュー記事になります。普段は30分枠のアニメのレビューをしておりますが、今回は15分程で手軽に観られる作品を取り上げました。

 

 

 

 

 ここまでは割と生真面目でお堅い雰囲気の作品ばかり取り上げてきたので、たまにはノンストレスでクスリと笑える作品をご紹介したいなと思いましてね。

 

 

 

 

 ...........ってな訳で、「天体戦士サンレッド」をレビューさせて頂きます。

 

 

 

 

タイトルロゴとキービジュアル ※「dアニメストア」配信ページより、引用※

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~作品概要~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 原作は「月刊ヤングガンガン」にて、10年以上にもわたって連載されていた人気漫画。全26話で、2008年にテレビアニメ第1期が放送されました。Z世代である僕にはあまり印象にはないのですが、一部でカルト的な人気があるようで、2期も放送されました。

 

 

 

 

 今回は第1期の部分を語らせて頂きます。人を選ぶ作風であるかもしれないが、僕は好きでした。どういった話かというと.........

 

 

 

 

 主に神奈川県川崎市を舞台に繰り広げられる、世界征服をもくろむ悪の組織フロシャイムの面々と川崎市の平和を守るヒーロー、サンレッドが対決するという内容が本筋.....であるはずのだが。

 

 

 

 ジャンル的には一応ヒーローものだけど、シリアス展開はほぼ皆無な日常系コメディの側面の方が強い。キャラクターも危なげもなく日常に溶け込んでるし、考え方もすごく庶民的であるのが特徴。

 毎話毎話テーマの異なる複数のショートコントで成立してる構成になっていて、どれもシュールで笑えるんですが、魅力的なポイントをこれから語っていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~本題~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①主人公のヒーローらしからぬ性格

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 子供の時に誰もが観ているヒーローものというのは、その多くが勧善懲悪と言わんばかりの誠実すぎる心を持っている者が多い。

 戦隊ものに限らず、往年のジャンプ作品とかもそういった主人公が多く存在している。

 今は色々なことに難癖をつけようとする捻くれ者でも、彼らに心を動かされてたあの頃の無垢な自分がいたでしょう?勿論、僕もそうだった。

 

 

 

 

 彼らはね~、基本的に真っすぐで綺麗ごとしか言ってねえし、弱みも大して見せようとしない奴らだな~って今なら思うんだけど、本作のヒーロー的ポジションにあたるサンレッドは全然そんなことないんですよね。

 

 

 

 

 言い方をオブラートに包むならば、とにかく不器用な性格をしている人物。端的に言うなら、プータローなガチクズです。

 

 

 

 

 この作品は「僕のヒーローアカデミア」と違って、ヒーローが公的な職業として認知された世界観ではありません。一応戦闘力はかなり高いものの、お金が入る個人事業ではなく、あくまで綺麗事や趣味の範疇としてのものとして描かれる。そんなリスクを背負いながらも、彼はヒーローとしてクッソダサいのが面白いんですよね。

 

 

 

 

 彼には、内田かよ子という彼女がいる。保健関係の仕事をやっていて、彼女の生活で生計を立てている。なんとも立派な彼女さんですこと。慣れない家事にも一生懸命取り組む献身性があるが、当のサンレッドは彼女のためには基本的に何も手伝わない。

 

 

 

 

 テレビ見てゴロゴロしたり、彼女が家事を上手く出来てないことにいちいちダメだししたり、文句を言ったりする。挙句の果てには暇されあれば、1人パチンコに明け暮れて金を不必要に使い尽くす。粗暴すぎる有様だし、ヒーローなのに、なんて誠実さの欠片もないんだよって。

 

 

 

 

 どっかのアソパソマソみてえに頻繁にパトロールすることもしない。定期的に挑んでくるフロシャイムの面々との対決も、ヒーロー服を着ずにラフな格好で臨み、ガチのワンパン一発かまして倒して去っていく。一応ヒーローものとしての体裁保ってんだけど、こ~~の脱力感マシマシの雰囲気が不思議と愛せるんだよね。

 

 

 

 

 ただそれでも根は善良じゃないと言えばそうでもなくて、ヒーローとしての誇りや理念は一応最低限は持ってるので、それを汚されることを嫌う描写がしっかりあるのは逆にダサかっこいい面白さがあるわな。

 

 

 

 

 このあと話すポイントも含めて、「ワンパンマン」の日常パートとか好きな人は特に観た方が良いと思います。

 サイタマとかこんな感じだしね。サンレッドは、彼よりもクズだとは思うけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②善良すぎるフロシャイムの面子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フロシャイムの面々は支部を各地につくり、そこに住みついている。ほんとに世界征服企んでんのか分からんほど、サンレッドとの戦闘以外では無駄な被害を出さない。

 支部も立派なもんじゃなくボロ臭い一戸建て。資金は限られておりその中で生活しなくてはならないので、人外なのに順応に社会に溶け込んで、リアルな人間の生活をしているというアニメ的ギャップの面白さがある。しかも、きわめて善良な人物がほとんどです。

 

 

 

 

 一応サンレッドが主人公とは言ったものの、物語の中核的な部分は彼らの奮闘によるもの。どうにかサンレッドを倒すために、どんな驚くべき作戦を練って実行に移すのか。

 その過程や発想が実に予測不能だし、シュール。オチが毎回サンレッドのワンパン一発で倒されることだったとしてもなお、サンレッドの方がダサさが際立つ構図になるのがズルいです。

 

 

 

 

 冒頭に載せたキービジュアルの画面右にドでかく描かれている、ローマ風の兜を着たヴァンプ将軍

 彼は世界征服は一応野望としてあるものの、めったなことでは怒らない程物腰が低く、すごく主婦的な一面が強い。稼ぎに出かけ疲れた怪人たちのための夕食を常に考えて振る舞い、サンレッドと戦う時にもいちいちファミレスに誘ってまで事前の打ち合わせをするという、妙に庶民的な律儀さが面白い。

 

 

 

 また、オネエ口調も相まって主婦感に拍車をかけているところだとか、たまに怪人の都合を考えずに空気を読まないで塩対応をしてしまう天然さがあるのも、これまたシュールな笑いを生んでいて面白いんですよね。

 

 

 

 

 その他の怪人を巡る展開も良いね。見た目がめちゃくちゃ怖いからという理由でお化け屋敷の仕事に行かされるところだとか、ヴァンプさん共々その見た目で宗教の団体と勘違いされる描写もあるし、御菓子を買うためにヴァンプさんと行動してるうちに仲間がはぐれてしまって町内放送で呼び出し喰らう場面もあるし。

 本当にどのギャグもしょうもないしシュールなんだけど、彼らのキャラクター性はうざったくないし(特に川崎支部)、あの心地良い奇妙な日常感がすごく癖になるんだよね。

 

 

 

 

 個人的に好きなのはそうだな........まあ色々いるけども東京支部ヘンゲル将軍かな。左手がザリガニみたいなハサミになってて、その他にも全体的に怖くて強そうな見た目してんのに「弩スケベ」と豪語する好色家というギャップよwww彼がメイド喫茶行ったときのギャグシーンは結構お気に入りです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③脱力感に更に拍車をかける低予算感

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギャグアニメというのは作画が大事だと思ってます。激しい動きやアホな顔芸で笑いを取る破天荒なアニメとか特にね。

 可愛いキャラとかカッコ良いキャラとかも、意図せぬ作画崩壊なんかしてると話の中身の部分でどう笑っていいのか分からなくなってしまうもんです。

 

 

 

 

 この作品は他のアニメと比べるとキャラの動きは単調気味ですし、静止画ベースで動いていることもしばしばある。何の脈絡もなく急に実写映像はっつけてきたりするし、キャラの口はそんなにあかねえし真面目に動かす気はないんだなと。

 ディスっているように聞こえるかもしれませんが、僕はアニメとしての方向性はこれで間違っていないと思いますし、むしろ有意義なことだと思っています。

 

 

 

 

 中でも目を光らせるものがあったのが、キャスティングですね。

 当時無名だった芸能人を多く利用しております。

 著名な例を挙げるなら、「ルネッサ~ンス」の決まり文句でおなじみのコンビ「髭男爵」の山田ルイ53世さんがヴァンプ将軍を演じています。他にも秋元康傘下の某グループのアイドルが起用されたりもしていて、本編のスタッフロールに載るキャスト一覧のところでプロ声優との比率が5:5くらいになるのはしばしば。同じ声優さんが掛け持ちしている例もあります。やはり予算ねえんじゃないかなと。

 

 

 

 

 しかもキャストさんの演技も、ほとんどが棒読み。サンレッド討伐作戦実行するときに、ヴァンプさんについてくるモブ役なんか特に。

 「サンレッド今日こそはお前を倒すぞ」みたいな悪役たる台詞をヴァンプさんが喋るときも、プロの声優さんがこういう時にやれば変なシリアスムード出るんだけど、まったく緊迫感ないんですよね。

 

 

 

 

 このぐだぐだ感が逆に堅さがなくて、自然な空気を作っていて徐々に入っていけるというかね。技術はないんだけど、芸術点地味に高いなと。

 パワーワードで笑わせる作品ではないのに、何気ない台詞でもじわじわと笑ってしまう。そんな低予算感を生かした雰囲気作りっていうのは、もっと真面目にやれやって人もいるかもしれんけど僕は好きでしたね。面白かったっすよ。