ゼクショーのアニメブログ

主に深夜アニメ30分枠のレビューをしていきます。毎週金曜日20:30更新!!※2023年4月以降から第2金曜日の20:30に更新予定※

Fate/ stay night 人智を越えた英雄同士の、壮絶な夜の殺し合い。

前回の記事はこちら ↓ ↓ ↓

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※この記事は、ネタバレが多く含まれております。良い所をかいつまんで語る形になるので全てを書くつもりはありませんが、尺に触るという方は観ないことを推奨いたします※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆さん、こんばんは。ゼクショーです。

 

 

 はじめましての方は、はじめまして。

 

 

 現役大学生アニメブロガーをしています。

 

 

 

 3月が始まりました。多くの学校が卒業式をやる、あるいは修了式をやって進級に備えるシーズンになってきましたね。

 

 

 

 この時期になると、しんどかった高校受験のあの頃を思い出す。肝心の卒業式の時は丁度コロナが流行り出しましたから、式を大幅短縮して終わったんで、あっという間であんま覚えてないですが、多分泣かなかったと思います。

 

 

 

 僕は高校時代落ちこぼれでしてね、偏差値もそんな高い部類の大学には行けませんでした。国、数、英、どれもクラス内順位、そして学年順位でも下から数えた方が早いんじゃないかってレベルで低かったんですよね。勉強よりも趣味を優先し、夢へのビジョン頭の回転が悪いし、勘も鈍いアホウドリですわ。

受験は推薦でしたので、一般入試を受ける人より一足先に受けた。確か卒業前の秋くらいの時期だったかな?夏くらいからアニメも観れずに、ひたすら様々な先生に声を掛けたりしてましたね。コミュ障にはこれがなかなかしんどいもんで、そんな苦労の日々の連続だった。

 

 

 

 

 

 だけど高校時代、どの行事よりも楽しい収穫をした、確かなものがある。それはアニメだった。

 

 

 

 

 

 高1の秋。当時放送されていた「魔法使いの嫁」を観たその時から、まさしく夢の中に誘われているような、アニメの映像表現、脚本に惚れ込んだ。それから毎クール新作アニメだったり、過去アニメを日課として観るようになりました。

 今年でそれは5年目。色々なジャンルのアニメに出会ってきた。200以上は余裕で越えているだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 その中でも大きな思い出となって残っていて、アニメを観る理由にもなっている作品のうちの一つを、今回はレビューしようと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2006年放送、「Fate/ Stay night」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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タイトルロゴとキービジュアル ※「dアニメストア」より、引用※



 

 

 

 制作会社は「スタジオディーン」。

 

 

 

 

 原作はPCゲーム。多くのハードに移植され、関連作品も多くの媒体で展開されてきた人気シリーズの1作目です。15年以上経った今なおコアなファンを増やし続けている、多くのオタクが愛してやまないこの作品を、語らない訳にはいかない。

 

 

 

 

 グッズを多く買い、スマホで原作をプレイし、映像化された関連作品もほぼ目を通してきた。「Stay night」を目にしたあの日から、大晦日は紅白よりも、ガキ使よりも、Fate特番を観て年を越すようにしている。僕の心臓は、Fateと共にあるといっても過言ではない。

 そのすべての原点となっているこの作品のアニメ版を、どういうところが好きなのか、どこがどう面白いのかについて、他Fate作品との比較も含めて話していこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0. あらすじ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 街を焼き尽くす程の大災害があった。

 炎の中、全てを失った幼い衛宮士郎

 魔術師、衛宮切嗣に助けられ。

 その後、養子となる。

 

 あれから十年。

 衛宮士郎は今は亡き養父、切嗣との約束。

  "正義の味方"に成る可く

 日々魔術の鍛錬を続けていた。

 

 そんなある日、ふとしたきっかけから

 "聖杯戦争"と呼ばれる魔術師同士の戦いに巻き込まれ、

 サーヴァントの一人、セイバーと契約する。

 

 聖杯戦争、それは、

 手にした者の願いを叶えるという聖杯を、

 七人の魔術師(マスター)が

 与えられた、七騎士の使い魔(サーヴァント)と共に、

 奇跡を手に入れるために殺し合う争奪戦。

 

 そして衛宮士郎は、十年前の大災害が

 聖杯戦争によるものだと知り、

 あの惨劇を繰り返させない為に、戦いに身を投じる事にな

 る。

 

 

 

 

※TVアニメ版公式サイト STORY部分より引用※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.  シナリオ面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全2クールの24話構成。前半と後半で大きく印象が変わってくる作品なので、その点含めて、僕が何に惹かれたのかを語っていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

衛宮士郎とセイバーの関係性の変化

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 物語の主題となる部分は、英霊との戦いにある。僕は勿論そういうとこも好きだし、どのサーヴァントもキャラクターが立っていて良い台詞回しもあって良いのだが、やはりこの作品の物語に華を添えたのは、主人公衛宮士郎と、そのサーヴァントとなったセイバーの関係性の描写にあると思ってます。

 

 

 

 

 まず、主人公の衛宮士郎は、あらすじで述べた将来の夢が「正義の味方になるこおと」であるように、他人が心身ともに傷ついて不幸になったり、犠牲になったりしようとすることを頑なに許せない人物です。そんな人助けを生きがいとしてるだけあって、「人懐っこい」と言えば聞こえが良いかもしれないが、それは誰かを守ろうとして、どんなに危険な目に遭ったとしても自分本位のことを考えられないという意味では、愚かな考えでもある。

 

 

 

 

 かつて通っていた学校の弓道部の同僚から、清掃などを押し付けられたり、バイトでも必要以上にこき使われる、それを苦にも感じぬその姿勢が、狂気的にも感じるんですよね。

 

 

 

 

 

 それに対してセイバーは、「騎士」のサーヴァントになるために産まれてきたかのような、騎士道精神の塊のような性格をしている少女剣士。常に冷静で事態の把握に長けていて、騎士でいうところの主にあたる、マスターの士郎を命に代えても守ろうとします。剣とも分からないような技を隠して、サーヴァントの切り札的なものである宝具を隠す戦いをするなど、手段を選ばない戦い方もするが、死んだ人物を弄ぶことを外道とし、人の魂の尊厳をリスペクトしている。

 頑固で負けず嫌いでもあり、英霊となる以前にも多くの戦いを切り抜ける中で生まれた騎士の誇りにこだわっている節があるせいか、マスターからの明白な指示がないと、一度敵と判断した人物には容赦なく切りかかっていく。

 

 

 

 

 「腹が減っては戦ができぬ」という言葉を体現するかのように、見かけによらず飯を沢山食って体力を溜めていくところもまあ面白いんだけど、前半は彼女の性格と価値観と、士郎の絶対的正義感からくる衝突が面白かったと思ってます。

 

 

 

 

 

 

 

 物語冒頭から、彼らはあまり噛み合ってなくて。

 

 

 

 

 

 士郎は、セイバーを召喚して最初にランサーと対峙する中でも、聖杯戦争の性質上、本来であれば前線に立つべき彼女が傷つくことを頑なに嫌がり、「女の子が戦うもんじゃない」と言って、自分が身をもって必死に守ろうとする。その後、聖杯戦争の監督役を務めている言峰綺礼から聖杯戦争の恐ろしいルールを聞いて葛藤するのも人間らしさがあって良いんだけど、ルールの特性上、「必ずしもマスターを殺さなくとも、サーヴァントを倒すことができれば勝利扱いになる」という性質があるのを知り、これを利用して、無駄な犠牲を減らしつつ聖杯戦争を終わらせる戦い方をするわけです。その犠牲となる対象はセイバーですら例外ではないとする考えは崩さない。

 

 

 

 

 

 

 

 セイバーに相談もせず、単身で敵サーヴァントであるライダー戦に挑みに行った時でも、聖杯戦争の参加者であるマスター1人が必ず持っている、サーヴァント1体に対して絶対服従の命令を3回まで使う事ができる令呪を、彼は使わずに臨んだ。その戦いの直前に「どうしても勝ち目がないと思ったら、令呪を使って私を呼んで下さい」とセイバーから忠告されていたのにも関わらず、助けを借りなかった。マスターである間桐慎ニとの対話で、一度難を逃れましたが。

 

 

 

 

 

 

 騎士としての誇りもあり、そしてサーヴァントとして戦うことを何よりの責務とするセイバーにとっては、この行動に「シロウは、聖杯戦争に対する考えが甘すぎる」と異議を唱え、最初のアサシン戦では士郎のリスクと犠牲を回避する考えの意味を汲み取れず、士郎に内緒で単身で挑んでしまう。そしてまた、士郎と口論になる。

 

 

 

 

 

 この対立関係が起こるのも何の矛盾もないし、めちゃくちゃぎこちない感じを出していて、面白かったんですよね。どちらも根底にある感情表現が苦手で、鈍感な部分を上手い感じに描写していて。

 

 

 

 

 

 ですが、こういう衝突を繰り返していくことによって、士郎は、自分が無力で、セイバーにもっと頼らなくては生き残れないんだと悟る訳ですよね。

 士郎のヒーローぶっている描写も冒頭から臭いキャラやな~~と思っていたし、カッコ悪いな~なんて初見の時は思っていた。そういう空気が苦手な人は多分1クール目の段階で切っていたんだと思うけど、この2クール目で彼らの関係性が大きく変化するんですよね、ここからが本当に僕は大好きで。

 

 

 

 

 

 

 

 生まれてきた時代、境遇こそ違えど、互いに似たような価値観を抱いていたことに気づき、心身ともに惹かれあうんですよね。2クール目でセイバーの魔力回復の効率を上げる為の儀式がきっかけで、2人の意識がリンクし始めるという展開がある。互いの過去が掘り下げられていく。

 

 

 

 

 

 

 彼ら2人が、どうしてそういう性格のキャラになってしまったんだというバックボーンが振りとなって、それが上手く使われていた。

 作中で何度も語られてる訳なんですけども、士郎はあらすじでも書いた通り、作中10年前の冬木大震災で数少ない生き残りとなった。サバイバーズ・ギルトとも呼ばれますが、このことが強い心象となって残っており、自分のことのように罪悪感を感じている。その時に自分を助けてくれた切嗣に強いあこがれを抱いて、自分の代わりに亡くなってしまった人々に償うためにも、彼の目指していた「正義の味方」になりたいと思うようになった。

 

 

 

 

 

 そんで、セイバーの過去と言えば。円卓の騎士たちがいた時代、彼女はイギリスのブリテンの王、すなわちアーサー王その人だった。王になるための選定の剣を何のためらいもなく引き抜いて、彼女は王となった。そこに支配欲、義務感といった動機はない。自分が思う「完璧な王」として振る舞うことに徹することで、自分以外の誰かが救われれば、それで良かった。たとえその成果が自分に返ることがなかったとしても、人々の笑顔が守られると思った。その頑固とも言える考え故に、部下や国民1人1人の声に耳を傾けることができなかった。王国は崩壊し、彼女もやがて死を迎えることになる。

 

 

 

 

 

 2人は、互いに言葉をしっかりと交わすことによって、あることに気づくことになる。

 

 

 

 

 

 この2人の目指した理想は、他人から与えられた「借り物の理想」に過ぎない。そしてその生き方に、動機や、私情は一切ないのだと。そんなものはあてのない理想であり、偽善でしかない。闇雲に当てもない誰かを救い続けても、誰とも理想を分かち合う事はできない。やり直しの利かない過去にすがるのではなく、借り物の夢は夢のまま終わらせて、しっかりと自分の意思を持って、本来あるべき未来を見つめて生きていかなくてはならないのだと。

 

 

 

 

 

 ならば他人の手によって願いを叶えられる聖杯なんていらないんだ、この2人が戦う理由として結論を導く出す過程が綺麗で、ものすごく面白かったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦う理由を見つけることもそうなんですが、2000年代に流行っていたエロゲブームのさなかに出たPCゲーム原作の作品ですから、2人を単なる人とサーヴァントの戦友同士の魅せ方をするのではなくて、戦いの合間合間に随所に恋愛描写を散らしておいて、終盤で完璧な回答をしていく流れは、ノベルゲームとしても、そのブームのさなかのPCゲームの映像化という観点で見たとしても、正解だと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 殺伐とした戦争を中心に描く話ですから、お色気描写や日常パートは割と少ないのですが、実は入浴中のセイバーを拝めるラッキースケベ描写が、前半クールと後半クールでそれぞれ1回ずつあります。前半では、セイバー側の反応が淡泊だったのが(士郎はきちんと慌てた様子を見せます)、後半では、脚本的にも演出的にも恥じらいの表情を見せるようになっている。

 これが風呂で裸を見られることを、主の傍に常に仕える少女騎士として恥ずかしがっていないのは変わらない。生真面目で規律的なものを重んじる性格のセイバーですから、そこを恥ずかしがっては情けないと分かってる。前半でそれを強調させといての後半の描写をこれにすることは素晴らしくて、これは士郎をマスターとしてだけではなく、男に恋する乙女として意識させる描写になっているんですよね。これがね~~~、セイバーのキャラクター性を強く出していて、非常に良かったと思いました。

 

 

 

 

 

 

 先ほどの喧嘩のシーンの前後にも繋がるんですが、セイバーが士郎のいる現世にいるうちに、戦いが終わった後の思い出を残そうとデートに誘い、その帰り際のところで突然現れた8人目のサーヴァントに襲撃され、致命傷を負ったセイバーを一時的とはいえ士郎が死ぬ気で守り切ったところは、他のサーヴァントにやられっぱなしだった前半クールでの無念さを晴らすような成長っぷりで、カッコ良かったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのあとのセイバーの「やっと気づいた。あなたが私の鞘だったのですね」という台詞も、セイバーの宝具のある秘密も明らかになっている意味でもあるんですが、士郎からの好意を認めるという意味もあって、まあ分かりやすかったですけども、良かったと思いました。

 

 

 

 

 

 

 ルール上、通常のサーヴァントというのは、戦いが終われば消えることになっている。英霊たちはあるべき時代へ戻っていき、マスターも普段の日常生活に戻ることになる。

 ラストシーンも、士郎が自分の私利私欲で、セイバーと結婚ENDするために現世に留まらせて聖杯を使うというオチではなく、彼女の英霊としての誇り、意思を最大限に尊重してこの聖杯戦争をやる中で過ごした日々を、思い出のまま終わらせる。

 恋を完全に成就させるのではなくて、別れた後でも2人が単なる人とサーヴァント以上の存在であったとするオチは、どこか儚さも残っているんだけども、すごく後味が良くて、理にかなったハッピーエンドだと思うんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②オカルト風な不気味さ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 聖杯戦争は、人目のつく場所では行ってはいけない、人智を越えた殺し合いです。

 

 

 

 

 偶然その様子を観てしまった者は躊躇なく殺されるし、その魔力を養うために多くの犠牲が必要になることもあります。士郎も一度そうやって巻き込まれていますしね。

 

 

 

 

 野蛮というよりは苛烈な、そして残酷な性質を持っているので、それが行われている中で行動しているキャラクター達の行動が、かなりオカルト風なのが不穏な雰囲気を出していて面白いんですよね。

 

 

 

 

 

 士郎の同級生である、間桐慎二のクズっぷりの行動と、それに従う形で悪事を働いたライダーの行動とかはその代表例だと思ってます。

 

 

 

 

 

 

 慎二は、自分が優越者であると思い込み相手を見下す瞬間を心地よいと感じている。要するに、平気で相手を馬鹿にし、自分勝手に気の食わない人間を大勢の前でバカにするような、実に小者で、空気の読めない性格の人物です。

 間桐家の人物は、魔術を極める家系の子供として生まれてきたゆえ、その血を受け継ぐ慎二も、少なくとも士郎よりは、魔術についてある程度熟知している状態にある。自分の手となり足となるサーヴァントを呼んだことにより、彼の元来の性格からくる自尊心が暴走して、気分がハイになってしまい、ライダーの魔力を溜め込むために街の人間を襲わせたり、気に入らない生徒を溶解させるために結界を張って昏倒させたり。そういった光景がものすごく人智を越えていて、ファンタジックでもあるんだけども、人の手ではどうしようもできない非人道的行為としての魅せ方として怖いんですよね。

 

 

 

 

 

 

 ライダーの人間に近い姿をしていながら、人間を殺すことに一切の躊躇いもないドライで苛烈な一面も怖い。敵である士郎の人並外れた正義感を彼の発言から汲み取り、「あなたはお人よしなんですね。ならば優しく殺してあげます」みたいな台詞も、人間とはかけ離れた魔性の女っぽさを出していて良かったですね。

 

 

 

 

 

 

 あとはそうだな~、士郎が聖杯戦争のルールを聞くために、監督役をしている言峰綺礼のいる教会に行くことになるシーンがある。

 その中で聖杯戦争のルールと、そのおぞましさを教わるわけだけれども、監督役として一切信頼を預けられないような胡散臭い台詞で、士郎の狂気的とも言える平和的思考にくぎを刺し、妙に彼の恐怖心を煽るような口調で言うところだったりとかも、不穏な雰囲気の出し方がな~~んか上手いな~と思いました。

 バーサーカーの初登場時のいかつさ、怖さ。

 イリヤが士郎を突然お兄ちゃん呼ばわりして慕っているようなそぶりを見せながら、自分のものにならなければ殺すと宣言し、子供の無垢っぽさのなかにも歪な人物像が垣間見える魅せ方。

 敢えて名前は出さんけど、8人目のサーヴァントが出てくる時の、圧倒的絶望感。

 どれも衛宮士郎というキャラクターを通して、視聴者に対して恐怖を植え付けるような魅せ方になってて非常に良いと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

③英霊のキャラクター性

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何度も言うが、この作品の最大の見せ場は、本筋となる英霊同士の戦闘パートにあるでしょう。

 セイバーと士郎の恋愛描写も凄く尊いもんだと思うし、好きなんだけど、視聴者が一番求めているところってそこだと思うんで。そこにキャラクターの面白さが乗っかってしまえば、もうこの作品を愛せざるを得なくなります。

 

 

 彼らが時に人倫的とは思えないような行動をとるのは、現代人とは異なる時代を生きていく中で持った価値観や、誇りがあるから。人と人、あるいは神が争う時代を生き抜いてきた者たちの集まりだから。

 大きな戦争が起きなくなった日本において、平和主義が一般的に浸透している状況であれば、それが際立つわけです。

 

 

 

 

 

 セイバーのように、他人とは違う自分が思う騎士としての在り方にこだわる余り、破滅を歩んだ過去をやり直したいと願う者、魔力を極限まですり減らして存在が消えかけているところを助けてくれたマスターと共に暮らしたいと願う者、そもそも聖杯にかける願いなどなく純粋に面白い勝負がしたい者など、それぞれの願いがある。

 

 

 

 しかし彼らに共通していることは、戦うことで存在価値を高められるところだと思います。だからこそ、戦いをするときに風格が出てくるわけだ。

 

 

 

 

 

 僕はアーチャーとアサシンの英霊としての異端性と、それを生かした戦い方が好きだったんですよね。

 

 

 

 

 その正体もまあ衝撃的なんですが、アーチャーっていうのは、過去、現在、未来の様々な時間軸において名の知れた英霊ではないんですよね。ランサーも「お前観たことねえな」となる。

 サーヴァントは現代に召喚されるにあたって、戦いの知識を引き継ぐだけでなく、生活に支障がない程度の知識を入れられる設定がある。マスターもそうだが、ある程度名の知れた英霊の知識も広くもっている。ランサー自体も、セイバーと同様にかなりのネームバリューを持っている英霊だが、そんな彼でさえも分からないという。

 

 

 

 

 戦い方も面白い。アーチャーというクラス名が示すように、弓を使って戦う弓兵なのだし、遠くにいる敵の魔力を感知して、位置を特定することができるスキルを持つという設定は、遠距離から敵の死角を狙って追い詰めていく戦いをする弓兵らしさがでていて良いんだけども、彼はなんと両手でしっかり持てるぐらいの剣を精製して戦うんです。

 この設定も不思議だし面白いんだけど、彼のキャラクター性も僕は好きですね。

 

 

 

 クラスメイトにして、敵にあたる士郎にも冷徹な一面を見せ、殺そうとするけども結局利害が一致して協力関係に持ち込むことになってしまうマスターの遠坂凛の戦い方に皮肉めいた事を言ったりだとか、士郎の綺麗事を良しとする戦い方に苦言を呈したりだとか。全体的に合理主義を良しとしてるけども、その感情表現が素直に出てこないキザな感じがすごくカッコ良いし、不器用な人間らしさを感じるというかね。

 割と頭のネジが曲がっていて、人間らしさが欠如しているキャラクターが多い中で、それが際立つというか。

 

 

 

 

 ネットでネタにされるくらいには、良い台詞も多かった。第14話「理想の果て」はアーチャー劇場と言っても良いくらいの、Fateファンにはたまらない神回なんですけども、敵に対して言った「恐れずしてかかってこい」の台詞が個人的には好きで、彼のキャラクター性がすごく詰まってて良いと思いましたね。

 

 

 

 

 

 その戦いぶりから、2クール目以降の士郎の精神的な部分、戦い方の部分で変えさせる道しるべになっている魅せ方も熱いもんだと思います。彼の正体が明かされる展開と振りの詰め込み方も面白かったですが。

 

 

 

 

 

 

 

 アサシンはあまり出番が多いキャラクターではないけれども、僕は割と好きな部類です。

 

 

 

 

 

 その服装から、武士に関係する人物なのは明白。性格はつかみどころがなく、飄々としている感じで、一切自分を気取ったりしない感じが、正々堂々とした武人感が出ていて良かったんですよね。

 相対する事となったセイバーの、明白に奥の手を隠すような戦い方をしているのを批判するのも非常に良いんだよね。剣士の話ちゃうねんけど、格闘技のスタジアムで観客をいちいち煽りながら入場してくる格闘家たちの手合わせへの臨み方よりも、戦いに対して何倍も誠意を感じるし、潔さがある。

 

 

 

 

 

 

 

 同じ剣士で、異性にあたるセイバーに負けた際に、コネをかけたような一言を言って消えていくところも、女と絡んだときの男の厄介な部分が出ていて男らしいなあと思うし、良かったっすね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 演出面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「作画はもうちょっと頑張れたやろ」「嫌だ、受け付けられない」等と言った意見がネット中であれこれ言われているこの作品。

 うん。その気持ち、よう分かる。

 僕自身ももうちょっとアクションシーン動かして欲しかったし、キャラの表情の動きだとかももうちょっとエロくして欲しかったな~~~とか思いました。何回も見返してもその印象は、誰に何を言われようと揺らぐことはないでしょう。

 

 

 

 

 

 ただそれでもね、映像技術が進化して、アクション表現バキバキになった他のFate作品と違ってね、人目につくことができない、人智を越えた神秘感と、誰がいつ死ぬか分からない終末感すら感じる「夜」の戦闘シーンが、この作品以外に描けたか?

 原作のキャラデザ・原案担当の方を監修担当として参加させて、アニメ版のキャラデザを可能な限り原作に近づけた。そんなこと、この作品以外に出来たか?

 

 

 

 

 「UBW」が一番好きだなという人。Ufo版の作画、確かに凄いよ。

 それは今もアニメを観続けているアニメ好きであれば、誰もが認めることでしょう。最近だったら別ルートを描く「Heaven's Feel」も作られてたね。一番最初の戦闘、ランサーVS真アサシン戦の作画にはとてつもない衝撃を受けた。見た人ならば、あの序盤から興奮と驚きが止まらなかったはずだ。

 だけど、無印版と比べた時に納得できないことが1つある。この作品と密接に繋がっている過去を描く「Zero」に関しても同じことが言えるんだけども。

 

 

 

 

 

 えげつないくらい明るい光彩表現使っちゃってさ、そんな街中で目立つ様なド派手な戦闘やっちゃったらさ、「夜」の死闘感を全く感じないのよ。

 

 

 

 

 

 このディーン版は、作画枚数は明らかに劣るだろうが、アクション演出のハイライト部分を可能な限り抑えたものになっているから、その神秘的な戦闘の雰囲気と、「夜」の死闘の雰囲気が上手い具合に演出されていると思ってるんですよね。これこそが「Fate」が本来持つべき空気感だし、それが僕はたまらなく好きなんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 音楽面

 

 

 

 

 

 

 楽曲面に関しても本当に神秘感溢れるの一言。これが1曲も刺さらないというのであれば、私は一向に構わん。

 2回くらい入ってくる特殊EDも非常にキャッチーです。僕が全部語ってしまうのもおこがましいくらい、アニメを観ずに曲だけ聴いて頂いても価値があるといっても過言ではありません。そう言い切っても良いくらい、どれも傑作かと。

 

 

 

 

 1クール目の衛宮士郎の自己犠牲精神を歌った「disillution」、セイバーの士郎への思いを綴っており、最終回にいくにつれての余韻が大きくなる至極のED「あなたがいた森」、2クール目以降大きく戦況が変わることを表した勇ましい曲調の「きらめく涙の星」、特殊EDの2曲に関しては本編を観て頂いて特に映える曲だと思うので、実際に観て、聴いて、判断して頂きたいものです。

 

 

 

 ちなみに僕のお気に入りは、「あなたがいた森」です。Spotifyで一日10回は聴いております。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~最後に~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いかがでしたでしょうか。

 

 

 

 今回は僕の誕生日も近いということもありますんで、ここまで歩んできたアニオタ人生の中でも特に思い出に残っている作品のうちの1つである「Fate/ stay night」について語らせて頂きました。

 

 

 

 大好きな作品であるが故に一杯書きたいことがあったので、あまり上手くまとめきれてはいませんが、ネタバレなくしては語れないと思い、結構してしまったのは反省点です。

 

 

 

 

 

 次回の更新日も、今回と同じ金曜日の20時半になります。

 

 

 

 

 

 

 あとこれは関係ないですが、下記のTwitterアカウントで僕が語っていないタイトルについても語っているので、良かったら見て下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 それではまた、次回の記事でお会いしましょう。