ゼクショーのアニメブログ

主に深夜アニメ30分枠のレビューをしていきます。毎週金曜日20:30更新!!※2023年4月以降から第2金曜日の20:30に更新予定※

<年末5日連続投稿企画①>ブルーピリオド 正解のないモノに個性を探し、描くキャンバス。

前回のレビュー記事はこちら↓ ↓ ↓

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 皆さん、こんばんは。ゼクショーです。

 

 

 はじめましての方は、はじめまして。

 

 

 普段このブログは、一週間に一度、毎週金曜日の20時半に新着記事を投稿させて頂いております。

 

 

 今週は大晦日を含めた「年末5日連続投稿企画」と題しまして、変則的ではありますが期間中は毎日投稿するという史上初の企画です。

 

 

 明日までにある課題をやりつつ、アニメもチェックしつつで脳がバグりそうになるのを抑えながら、徹夜で書きました。

 

 

 

 今回の記事はとりわけ抽象的なテーマの作品の為、非常に頭を悩ませながら書いたというのが正直なとこです。

 まあ「マンガ大賞」作品ということで、語らない訳にはいかないですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2021年秋アニメ、「ブルーピリオド」です。

 

 

 

 

 

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タイトルロゴとキービジュアル 引用:https://blue-period.jp/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 原作は「月刊アフタヌーン」にて連載中の漫画。「マンガ大賞2020」における大賞受賞作品ということで、放送前の期待値では個人的には高い方でした。

 

 

 

 

 

 この「マンガ大賞」歴代受賞作品には、「彼方のアストラ」、「ちはやふる」、「ゴールデンカムイ」といった名だたる名作たちがあります。

 

 

 これらのアニメも非常に優秀なシナリオと、素晴らしいアニメーション演出がありましたし、我儘でしかないかもしれませんが、僕としては、この作品には、それらに続くに相応しい作品としての「個」の力を求めてしまいます。

 

 

 

 では、この作品が、僕の注文に答えられたかというと...............

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ん~、大体70%といったところですかね~~~~~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結論から言うと、面白かった。このパーセンテージは高いと思われるかもしれませんが、決して満足はしていないってことですね。

 

 

 アニメとして視聴者を魅せる分には最低限の面白さはあった。なんか色々と足りないな~、細かいエラーが出てるな~って印象でした。

 演出面、キャラクター部分と、それらを生かすシナリオ面を、総合的にどれをとって着目したとしてもです。

 

 

 良かった部分ももちろんあるので、そこんとこも交えながら語っていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

0. あらすじ

 

 

 成績優秀で世渡り上手な高校2年生・矢口八虎は、悪友たちと遊びながら、毎日を過ごしていた。

 誰もが思う“リア充”……そんな八虎は、いつも、どこかで虚しかった。

 ある日、美術室で出会った1枚の絵に、八虎は心を奪われる。

 「絵は文字じゃない、言語だから」

 絵を通じてはじめて正直な気持ちを表現できた八虎は、美術のおもしろさに目覚め、衝動のままにスケッチブックへ向かっていく。

 そして八虎は、ついに進路を固める。

 

 「第一希望 東京藝術大学

 

 実質倍率200倍、入学試験まで、あと650日──!

 国内最難関の美大を目指して青春を燃やす、アート系スポ根物語、開幕!

 

 

 

※ブルーピリオド アニメ公式サイト「INTRODUCTION」部分より引用※

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1. シナリオ面

 

 

 

 

 世渡り上手で成績優秀だけど、美術経験のあまりなかった主人公八虎が、予備校に通いつつ絵を描く技術、センスを磨いて東京藝大を目指していくっていうのが大前提の内容ですが、「美術に決まった正解は存在しない」というテーマ性はキャラクターを通してなんとなく伝わってきますし、最後までブレずに貫いていた印象です。

 

 

 

 

 このアニメ、台詞回しはものすごく良いですね。

 

 

 

 いくつか好きな台詞があるので、言っていきましょうか。

 

 

 

 主人公の矢口八虎が美術部の先生に教えを乞いながら、彼が絵を描くというときに、描くという行為自体は何なのか、悩んでいた際に先生にかけられた一言で、「矢口さん、言いたいことを教えてください。美術は文字じゃない。言語なんですから」っていう台詞があります。

 

 

 

 大前提として、絵を上手く描くという技術も勿論大事だよと。でも美術は芸術だから、その作品を通して自分が感じたことを表現するセンスを、どれだけ突き詰められるか、どれだけ伝えられるかにあるんだよって。それを、文字を適当に並べただけの表面上のコミュニケーションではなくて、直接対話するように、積極的な言葉によるコミュニケーションをとろうぜっていう風に会話で例える言い回しが、良いと思いました。

 

 

 

 

 

 続いては八虎が予備校で出会った天才少年、高橋世田介の絵に衝撃を受けるシーン。彼がどう天才だったってことまで話すとネタバレが過ぎると思うんで、ここで割愛させて頂きますが、その中で悔しがる八虎に、腐れ縁の関係にあたる鮎川龍二が投げかけた 「悔しいと思えるならまだ戦えるね」っていう台詞。

 

 

 

 

  自分とほぼ年の差はない相手のはずなのに、自分にはない強みを持っていて高嶺の花のような存在に感じてしまうこともある。普通の人は、そんな風に羨ましいと、自分の才能を切り離して称賛の意を抱いてしまう。でも八虎は、なんであんな風に俺は描けないんだろうって悔しがっている。

 この台詞はシンプルだけども、僕もそう言われたら闘争心が湧くし、良いスポ根アニメみたいな熱いものがあったと思います。

 

 

 

 

 

 他にも良い台詞がたくさんありますので、観ていない方はそこんとこも楽しんでいただければ良いのではないでしょうか。

 

 

 

 

 あと、台詞回しのところ以外だと、八虎が与えられた美術のテーマに対してテーマを見つけていく、ふとした瞬間から出てくるアイデア。その「発見」の部分の面白さが、回を増すごとに取っ掛かりが良くなっていったのは好印象でしたね。

 

 

 藝大受験のシーンとかがまさにその真骨頂と言えるものでした。美術を通して自分を発見する面白さが詰まっていた。結論から言いますと、藝大受験には一次試験と二次試験がありますが、二次試験の部分は後半のクライマックス部分で一番面白いところだと思っているので、ここでは敢えて語りません。一次試験のところも盛り上がる所ではあったけど、どうしても語りたいので語らせて下さい。

 

 

 テーマは「自画像」。絵を単純に巧みに映すだけではなく、自分自身を俯瞰してみてみて、強烈なインパクトを与える、そんな風な絵を求められていると踏んだ八虎。

 

 

 

 喜怒哀楽の裏に潜む、色々な自分の感情。器用に振る舞うことができてる自分と、不器用な自分の姿。矢口八虎という人間にはそんな「二面性」があると考え、「二面性を持った自分」としてテーマを決めて、作業に取り掛かります。

 

 

 自分の顔の特徴的部分を繊細に、そして濃密に捉えるために、鏡を使う訳ですが、あるアクシデントがありまして、鏡が割れてしまいます。

 

 

 たまたま起こったアクシデントなんだけど、これをラッキーだと捉え、そこからアイデアを思いつく。

 

 

 あらすじでも書いた通り、八虎はなんでもそつなくこなそうとするし、そのための努力も惜しまないけれども美術に関しては、触れたての「凡人」でしかない。

 このラッキーにすらすがんでしまう、追い風に変えようとしてしまうところが「凡人」の努力家としての執念深さを感じさせるのが良いんだよね。

 

 

 

 天才のように、凡人が気づかないような意外な部分からの着想は出来ないけれども、これが「自画像」っていう美術作品における、一つの大きな発見だし、自分勝手力の強い「個性」的なアイデアってことなんだよと。

 

 

 

 

 

  続いてここからは、個人的におかしいと思ったところを述べていこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

①美術というテーマ性の描写が抽象的すぎる

 

 

 

 そもそもの話、こういう漠然としたテーマの作品がその面白さを伝えるっていうこと自体が、かなり難しいと思うんですよね。

 原作者自身も東京藝大出身とのことですし、絵を描くことに魅力を感じてきて、その道で学んできた身として、数えきれないほどの知識だったりが染み付いているはず。オタクみたいに、知識の引き出しを開けまくって難しいものを下手に引け散らかしたりすると、素人が観たときに作品の没入感にハマりにくくなるっていうことが起きてしまう。

 その加減具合が、アニメとなった本作品でも試されている真価だったのではないでしょうか。

 

 

 

 僕は、それがこの作品にはあまりできていなかった.......っていう表現は違うな。分かりづらかったんですよね。

 

 

 

 

 絵を描くときに必要な要素、「良い絵っていうのは構図が良いんです」「良い絵っていうのは色が大事」「自分勝手力を磨けば、劇的に絵は変わる」。

 

 

 

 

 序盤はこういう抽象的な説明口調が続いて、深く読み取っても意味が掴みづらいっていうのがありましたね。なんとなくまとめるとこう。

 

 

 

 絵を表現する用途によって、目的に応じて様々な構図があってそれを使い分けながら、色彩を突き詰めつつ、個性を生み出さなくてはならない。

 

 

 

 

 

 急にこれ言われて、皆さん戸惑いません?その用途をどう組み合わせればええんかってめちゃくちゃ頭抱えるけど、答えが出ないと思うんですよ。

 

 自分でもこれを書いていて、訳が分からないってなりましたもん。

 

 

 八虎がこの意味を理解していったときに、先ほども触れた発見する面白さっていうのが出てきて、そこに視聴者の感情が乗りやすくなって、退屈から爽快感に変わる瞬間っがあるんですが、この取っ掛かりが長すぎて、雰囲気はあまりつかめなかったかな~っていう印象を受けてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

②キャラクターに個性はあるけど、愛せはしない

 

 

 

 

 

 キャラクターは他作品の例にもれず、個性豊かな面々となっていますが、本編を通してみてめちゃくちゃ感情移入できたキャラクター、愛すべき存在と思ったキャラクターはいませんでした。

 

 

 まずそもそもの話、主人公の矢口八虎のキャラクター性の時点で、ちょっと大げさな設定の印象を受けるんですよね。

 

 

 

 陽キャ陰キャにも分け隔てなく接することのできる良い人感描写はまだ現実味を持ててるんですけど、学生なのにピアスあけて煙草吸っている不良設定があるのに、色々な人から浮いたような目で、蔑まれたような目で見られずに、問題なく登校していること、そのうえ成績優秀で人の空気を読んだ行動しか基本的にしない人物像。

 アニメっていうある程度非現実的な要素を良しとしている媒体の中で、こういう描写があると、非リアの理想を具現化したような都合の良い「良い人」感が出ちゃって臭く感じてしまうんですよね。

 

 

 

 あとは八虎の腐れ縁関係にあたる鮎川龍二の、キャラクター性が美術に大きく直結したとは思ってないですね。というか、このキャラクターそもそもいらねえよって思いました。

 

 

 龍二は中世的な容姿をしているけど、名前の通り性別的にはオスで、この作品における「男の娘」なんですよね。

 

 

 「男の娘」設定って、男だけど女みたいなどっちつかずの容姿。同じ男として見てみても、設定が飛躍しすぎいていてどう萌えたら良いのか、どう感情移入すれば良いのかが分からないっていうのが、正直な印象なんですよ。

 その存在があまり主張されない、あるいはほかのキャラクターの色の濃さでそれが隠れるようなシナリオの作品だったら、それで良いと思うんですよね。

 

 

 

 あと龍二は、男なのにスカートを履いています。口調も意図的に女の子になったりしている。このことから、性別の垣根を越えたジェンダー思想を持っているってことが薄々お分かりかと思います。

 

 

 ジェンダー思想を持たせているってこと自体は別に否定する気持ちはない。上手くやればシナリオ的に、もっと面白く出来そうな良い設定ではあると思うんだけれども、彼のジェンダー思想を主張しまくる展開、それをどんどん掘り下げていくことは、八虎を通して美術の真髄を探っていく、アイデアを発見し、それを表現する面白さを盛り込む場の妨げにしかならない。

 

 

 

 

 美術みたいに、表現の個性とそのリアリティを求めてしまう作品において、こういうキャラクターがいるとチープに感じてしまう。美術の魅力に深く入り込もうぜって作品なのに、その存在がアンバランスにしかならないし、邪魔でしかないんですよね。

 

 

 

 

 

 

 あとは高橋世田介くん。なんでも空気を読んでそつなくこなすが、美術に関しては素人の八虎の闘争心を燃やす、ライバル的な対立関係にある存在としてはよく描けていたと思います。

 天才肌で周囲に対して愛想がないっていうのは、キャラクター設定としては新しくないけど、八虎の努力を認めているところがあるのは熱いものがある。でも愛想がないを通り越して、ちょっとサイコパスなところはあったかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2. 演出面

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 演出面は悪くはないけど、物足りなかったっていうのが正直な感想です。

 

 

 

 芸術、特に「絵」を題材とした作品である以上、「絵」の部分の芸術点の高さが欲しかったかな~と思ってます。

 

 

 

 キャラクターの表情とかを大事にするよりも、やっぱり絵の部分でもう少し違いを出して欲しかったかな~って思いますね。あ~でも、作画崩壊してもええんやでって言いたい訳やないの。とにかく分かりづらい。

 

 

 

 物語の設定上、本作品で出てくる絵というのは、八虎と同レベルかそれ以上が揃っている予備校の生徒たちの作品がほとんどですから仕方がないけど、八虎の絵には「個性がない」「本質を何も分かっていない」って他のキャラクター達を軸に説明されましても、我々素人目線から観たら、周りの絵見て、ほとんど上手さの部分で差がないようにも見えるし、非常に不明瞭で分かりづらい。

 原作はどこまで繊細に描き分けられてるかは分かりませんけれども。

 

 

 「絵」を象る背景。まあ作中で言ったら教室にある壁だとか、美術館の作画だとかがそれにあたりますかね。なんか「絵」じゃなくて背景の方が目立って見えちゃうんですよね。

 

 

 

 「絵」を主役として見せたいのであれば、いっそのことその「絵」が背景より浮いてしまえっていう勢いで、「絵」の方の作画のトーン具合だとか、そこんとこにもう少し予算かけることはできんかったのかな~~~~~なんて思ったり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 音楽面

 

 

 

 OP曲は「EVERBLUE」。

 

 ネットでも言われてましたが、山下達郎さんが歌われていても不思議じゃないような歌声と楽曲でした。よくよく聴いていれば、ああちゃうんやなってなりますけど、冒頭が本当にそっくりだった。映像面もポップなタッチで良かったですが、曲が合っていたとは特別そんな思いませんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ED曲は「Replica」。

 

 

 演出面でも楽曲面でも、こちらの方が圧倒的に優れていたと思います。

 

 

 「誰かの操り人形に 凭れ掛ける愚か者よ」という歌詞が、何らかの判断基準でスペックが高い人間だとしても、何事もそつなくこなすだけではそこに自分の意思というものは薄いものでしかなくて、虚しいだけだと。八虎というキャラクターの芯をついた良い歌詞だと思いました。

 最後の「腐りきったレプリカ 終わりを待っている」という歌詞は、レプリカっていうのは摸写、複製っていう意味。本物は一つしかないけど、偽物はいくらでも量産できる。さっきの歌詞などを踏まえたうえで、自分らしくない誰かのコピーみたいな生き方はしたくないし、それこそが本物の生き方なのではないか。それを美術を通して表現している「ブルーピリオド」という作品を一言で表現した素晴らしい歌詞だったのではないでしょうか。

 

 

 演出面でも、原作者さんのキャライラストをスライドショー形式で流すという手法の演出も、原作リスペクトの意味も感じますし、この作品がやりたかった表現を詰め込んだような素晴らしいものだったのではないでしょうか。派手にキャラクターを動かして魅せるタイプのアニメではないので、こういう感じで物語の引き際を作っているというのは、これはこれでありだと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いかがでしたでしょうか。

 

 普段の更新は金曜日なのですが、冒頭でも話した通り、現在5日連続投稿企画というものをやっているので、そんな日を待たずに次回のレビュー記事をお見せできるかと思います。

 

 

 あとこれは余談ですが、下記のTwitterアカウントでこのブログでは語っていないアニメについて色々と語っております。興味がありましたらフォローして頂けると喜びます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回の更新は、火曜日です。今回と同じ20時30分での更新になります。

 

 

 それではまた、次回をお楽しみに。